【動画】手作りマスクの実力は?=理研・豊橋技術科学大・神戸大提供、京都工芸繊維大・大阪大・大王製紙協力
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 新型コロナウイルス感染症対策にスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」が活用されている。目に見えないほど細かいせきのしぶき(飛沫(ひまつ))が、どのように広がるのか、富岳の計算を元にしたコンピューターグラフィックス(CG)を、ニュース映像などで目にした人も多いのではないだろうか。富岳は今年、スパコンの計算速度で世界一になった。どんなマシンなのか。

国会でもとりあげられたスパコン

 菅義偉首相は11月25日の参議院予算委員会でコロナ対策にふれ、「国民の皆様には、スーパーコンピューター『富岳』でもマスクは効果があるということが立証されていますので、ご協力をいただきたい」などと述べた。

 富岳は理化学研究所(理研)のスパコンだ。6月にあったスパコンの計算速度世界ランキング「トップ500」に参加した。そこで計算速度が1秒間に41.6京回(京は1兆の1万倍)という好成績をたたき出し、1位に輝いた。昨年まで首位だった米国のスパコンは2位で、その倍以上の速さだ。

 スパコンの世界は競争が激しい。日本勢が首位を奪ったのは、理研の先代のスパコン「京(けい)」以来、9年ぶりだった。

 京には国から約1100億円の予算がつぎこまれ、旧民主党政権時代の2009年、予算の無駄遣いがないか追及された。そのとき、蓮舫参議院議員が使った言葉「2位じゃだめなんでしょうか」が注目され、科学技術予算をめぐる議論になった。

 京の開発予算はいったん「凍結」されたがその後「復活」した。11年には目標としていた計算速度の世界ランキング1位をとった。国内外の大学や企業の研究者らに使われた後、19年8月に運用を終えた。

 その京の後継機が富岳だ。開発費は約1300億円で、うち1100億円に国費が投じられた。富岳の名称は、一般公募をもとに決められた。富岳とは、富士山の異名だ。京の約100倍という性能の「高さ」と、利用の「裾野が広い」使いやすさの両立をめざすことを表している。

 なぜ、理研は使いやすさを強調するのか。先代の京には課題があったからだ。世界一の計算速度を強く意識したあまり、様々な計算には使いにくくなり、利用はあまり広がらなかった。スパコン研究者は、レース場で直線の最高速度が世界一のスーパーカーでも、カーブをうまく曲がれない車ならば、ドライブに使えないようなものだ、とたとえて説明する。

 富岳ではこれを反省し、スパコン専用でない、一般的なソフトウェアも動かせるなど「使いやすいオンリーワン」のスパコンをめざした。

 また、スパコンは多くの電気を使うのも課題だ。富岳の消費電力はスマートフォン300万台分にあたる30メガワットにのぼる。

 ただ、計算性能をスマホと比べると、国内の年間出荷台数の3分の2にあたる2千万台分ほどに匹敵するという。

 そのため1ワットあたりの計算速度に換算すると「省エネ」ともいえる。スパコンの省エネ性能を競う世界ランキング「グリーン500」では10位につけている。

 理研計算科学研究センターの松岡聡センター長は、「消費電力は(様々な用途に使える)汎用(はんよう)性を高め、マシンを大きくするほど不利になってくる。車に例えると、レーシングカーであれば色んな装備を省けるが、高級車であれば安全装備や快適装置がついて燃費が悪くなる

ようなもの」と、用途の広さを考えると、高レベルの省エネ性能だと説明していた。

実はまだ完成していない

 実は、この富岳はまだ「完成」…

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