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 エイズウイルス(HIV)に感染しても、適切な治療を受けていれば、うつすことはない――。最新の研究をもとに、こうした啓発活動が世界で広がっている。12月1日は世界保健機関(WHO)が定める世界エイズデー。

 エイズはかつて致死率の高い病気だったが、薬など治療環境が大きく進歩し、平均余命は非感染者とほぼ変わらないほどに改善した。現在は、HIVに感染しても早期に治療を始めれば、エイズの発症や症状を抑えられ、通常の日常生活を送ることができる。

 エイズ予防財団の白阪琢磨理事長は「1日1回、1錠の薬を飲めば、ウイルスを血液検査で検出されないレベルに抑えることができる時代になっている」と話す。近い将来、2カ月に1回の注射ですむようになる見込みという。

 また近年、薬でウイルス量を抑えていれば、コンドームなしの性交渉でも感染させないことが複数の臨床研究で示された。これを受け、2016年ごろから、「検出されない=Undetectable」と「感染しない=Untransmittable」の頭文字を取った「U=U」を広める啓発活動が世界で広がる。日本エイズ学会なども支持している。

 ただ、国内ではエイズに対する理解が進んでいない。内閣府が18年に18歳以上の3千人を対象に行った調査(回収率56%)でエイズの印象について、「死に至る病である」が52%、「原因不明で治療法がない」は34%に上った。

 18年に設立したU=Uジャパンプロジェクト代表の井上洋士・順天堂大特任教授は「社会の理解が、治療の進歩に追いついていない現状がある」と危惧する。同プロジェクトでは「HIVの新常識」として、「効果的な治療を続けていれば、HIVは感染しない」といった発信に力を入れる。

 厚生労働省によると、19年に報告された新規のHIV感染者・エイズ患者は計1236人。エイズが発症して初めて感染がわかる人が全体の約3割を占める。井上教授は「効果的な治療を受けるために、まずは検査にいくことが重要だ」と強調する。