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 菅義偉首相は1日、2020年度末で期限を迎える国土強靱(きょうじん)化緊急対策について、25年度末まで延長し、今後5年間の事業規模を15兆円程度とすることを閣僚に指示した。18年の西日本豪雨や台風21号の被害を受け、緊急対策として3年間で進めてきたが、延長期間、事業規模ともに与党の求めに応じた形となった。

 首相は同日の閣僚懇談会で「時々の自然災害等の状況に即した機動的・弾力的な対応を行う」と述べ、計画の策定を指示した。激甚化する風水害や巨大地震等への対策、予防・保全に向けた老朽化対策の加速、デジタル化等の推進にかかる対策を柱に挙げた。21年度分の予算は、月内に閣議決定する20年度の3次補正予算案に盛り込む方針も示した。

 国土強靱化は、首相が党運営で頼りにする二階俊博・自民党幹事長の肝いり事業だ。二階氏は「3年ですべて解決するわけではない」などとして、1年以上前から延長を要求。今年7月には公明党の斉藤鉄夫幹事長(当時)と、5年間延長して拡充させることで一致。両党は、編成中の3次補正予算案の柱の一つにするよう求めていた。

 二階氏は1日の記者会見で、「時宜を得たことであって、我々としては当然のことだ」と発言。公明党の山口那津男代表も「我々与党の主張、公明党の主張を取り入れたものと評価したい」と述べた。

 国の財政は、新型コロナ対策で巨額の支出を強いられ、かつてない借金体質に陥っている。財務省は「政治からの要望がとにかく強い」(幹部)との認識を持ちつつも、「5年間10兆円程度」に抑えたいとしていた。だが、「景気対策としても有効」(官邸幹部)との意見にかき消された。財務省関係者は「緊急だったはずなのに、『規模ありき』だ」と不満を隠さなかった。(相原亮、津阪直樹)