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「災害大国」日本ではいま、救援・復旧活動で自衛隊への依存が増している。それに加え、中国や朝鮮半島といった安全保障の最前線に対峙(たいじ)しているのが、九州・沖縄を管轄する陸自西部方面隊(約2万5千人)だ。そのトップである西部方面総監を務めた本松敬史・元陸将(58)が8月の退官後、初めてメディアのインタビューに応じた。陸自の中枢ポストを歴任し、自衛隊制服組トップの統合幕僚長を直接補佐する副長も務めた立場から、災害派遣の実態や防衛任務との両立について現場の実情を語った。貴重な証言を、4回の連載で紹介する。今回は2回目。

拡大する写真・図版自衛隊と災害派遣②

 災害派遣では期限をいつまでとするか、損壊した家屋や家具など災害廃棄物の除去を自衛隊がどこまでやるべきかが、常にせめぎ合いとなる。民業圧迫との批判を受けないよう、住民の「自助」につながるような引き際をいかに描くかが重要になるという。

 現場で最も調整が難航したのは、災害廃棄物の処理だった。本松氏は「コロナ禍でボランティアが不足し、だれがやるのかと周りを見たら我々しかやる人がいない。それに公共性はあるのか、非代替性はどうなるのか、フィルターをかけながら慎重に対応していった」と言う。

拡大する写真・図版7月の熊本豪雨で浸水した家から畳を運び出す陸上自衛官ら(陸自西部方面総監部提供)

畳にウジ「完全防備で」

 発災から6日後の7月10日。人吉市で一斉の廃棄物処理作業があり、自衛隊は主要幹線道路沿い地域の家屋から、畳、金属、家電、家具の4品目に限り処理することを決めた。「畳は水を吸うと100キロほどの重さになる。夏場ですぐ腐敗し、ダニやウジもわいていた。じかに触ると皮膚がかゆくなり、吸い込んでしまう恐れもあったため、完全防備でやった」。本松氏によると、これまで災害のたびにその都度、何をどこまで処理するか個別に判断して対応してきたが、あらかじめ大きく重たいこの4品に限定して自衛隊が担うやり方は「人吉方式」として廃棄物処理作業のモデルケースになっているという。

 2016年の熊本地震でも18年の西日本豪雨でも、災害廃棄物の処理・除去をだれが何の権限でどこまでやるのかが問題になった。本松氏によると、熊本地震の際、益城町など地元自治体の要請を受けて災害廃棄物を除去しようとしたところ、「ごみ処理業者に任せればいいじゃないか」と内外から非難の声があがったという。

 自衛隊法83条に基づき、災害…

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