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 明治神宮野球場(東京都新宿区)で野球ファンや関係者に親しまれてきた、そば・うどんの「水明亭」が今年限りで閉店する。1964年の東京五輪とも縁がある老舗は、延期された2度目の東京五輪の開催を待ちきれなかったかのように、半世紀を超える歴史に幕を閉じる。

 バックネット裏の通路一塁側寄りに、かつお節と昆布でとった出し汁の香りが漂う。観客席の座席まで持ち運んだり、通路で立ったりして楽しむ伝統の味を求めて、食事時や試合の合間には行列ができる。

 水明亭のルーツは、店主の本村律枝さん(79)の父が、明治神宮外苑内に構えた割烹(かっぽう)料理店。当時はお店の隣に神宮プールがあったため、水泳と明治神宮の頭文字をとって屋号にした。64年東京五輪では、合宿練習する水泳日本選手団の食事の世話をした。開会式の日は聖火リレーの最終ランナーを務めた坂井義則さんの待機場所になり、その様子は昨年放送されたNHK大河ドラマ「いだてん」の最終回でも描かれた。

 調理長の父が亡くなった後は食堂に。看板メニューのちゃんぽんは故郷・福岡県久留米市の味だったが、2度目の東京五輪に向けて新国立競技場の建設が進む2018年10月31日に、惜しまれながら閉店した。

 球場内のそば・うどん店は、五輪があった64年ごろに出した支店。一塁側の通路などにも店を構えた時期もある。本村さんによると、ヤクルトの相手が阪神タイガースの時は関西風の味も用意した。「アレルギーがあるお客様もいるので、とくにお子さまのうどんは、そばと別の鍋で湯がくようにした」という。なじみの客からは「おかあさん」「おばちゃん」と慕われた。

 昨年、後継者として親戚の山口照弘さん(26)が久留米市から上京。野球の試合がない冬場に、隣のコーヒー店を肉料理とパスタの店に改装した。ところが、新型コロナウイルスの影響でプロ野球の開幕が2カ月以上遅れ、開幕後もしばらくは無観客開催となった。設備投資の回収がままならない中、8月に本村さんが体調を崩して久留米市の病院に入院することになり、閉店を決めたという。

 本村さんは入院先で付き添う親…

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