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 昨年、公演期間中に心筋梗塞(こうそく)で倒れた俳優生活55年目の村井國夫。12月24日から、「砦(とりで)」の再々演で舞台に復帰する。演じるのは、ダム建設に反対し、国を相手に13年もの間、奮闘した実在の人物だ。「民主主義は、もっと手間暇がかかるもんたい」。そんな言葉をかみしめているという。

拡大する写真・図版村井國夫さん=外山俊樹撮影

 熊本・大分県境の下筌(しもうけ)ダムは1960年代ごろ、地元住民らが建設予定地に砦を築いて抵抗した「蜂の巣城紛争」で知られる。村井演じる室原知幸は最後の1軒になっても立ち退かなかった。原作は松下竜一のノンフィクション「砦に拠(よ)る」。今回、膨大な資料を改めて読み込んだという。「単なる評伝にはしたくない。そこに人間が生きていなければ、この物語は存在しない」

 ダム建設のきっかけとなったのは53年の筑後川の氾濫(はんらん)だ。筑後川下流域の佐賀県で育った村井は「前の日の雨がものすごかった。僕は当時9歳くらいで、兄貴たちが夜中に起きて、崩れそうになった壁をおさえていた」。

「昔の出来事だけど、今の芝居」

 治水ダムの建設は、下流域住民の悲願になった。「僕は下流域の人間だから、室原さんに対して文句を言うはずの人間。だってダムを作らなきゃ、(氾濫が)また起きるかもしれないんですから。室原さんは、『公共事業は、理にかない、法にかない、情にかなうものでなければならない』と言い続けた。それを言うときに緊張がある。ちゃんと正しく伝えなきゃいけない」

 国を相手に闘った室原の姿に「…

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