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 新型コロナウイルス感染者が急増する中、患者の受け入れ先の調整や感染経路の追跡など対策の最前線を担う保健所は、再び業務がパンクしかねない状況だ。だが東京都墨田区保健所長の西塚至さんは、「第3波」が到来したとされる今も、冷静に受け止めている。各地の保健所から悲鳴があがる中、なぜ墨田区は違うのか。

拡大する写真・図版墨田区保健所長の西塚至さん=2020年11月16日、東京都墨田区、池田良撮影

「ちょっとのどが痛い」だけでも…1日530件の検査が可能

 ――全国的に感染者が急増しています。

 「墨田区も人口10万人あたりの感染者数が25人を超え、東京都の平均を上回っています。人が密集し、小規模の高齢者施設もたくさんあるので、感染症に脆弱(ぜいじゃく)な都会の下町として警戒しています」

 ――となると早晩、検査が受けられず「目詰まり」と批判された第1波の再来となるでしょうか。

 「そうはならないと思います」

 ――なぜですか。

 「抗原検査も含めれば1日530件の検査が可能で、『ちょっとのどが痛い』程度でも検査を受けていただいています。検査態勢には十分余裕があり、相談があればその日のうちに検査が受けられます。無症状の人も見つかるので感染者数は多いですが、知らない間に感染が広がったり、重症化したりするのを防げます」

 ――「のどが痛い」だけでも?

 「そうです。保育園や学校、高齢者施設などで陽性者が出たら、濃厚接触者以外の症状が出ていない人にも検査します。人間の記憶は不確かなので、意外な所で接触している可能性があるからです」

 「6月には民間の検査会社を誘致し、区民ならいつでも誰でも6千円で検査を受けられる仕組みをつくりました。この仕組みを利用し、12月1日からは区内に約230カ所ある高齢者や障害者施設の5千人を対象に一斉検査を始めました。こうして、徹底的にクラスターの芽をつんでいます」

 ――国や専門家は、感染の可能性が低い無症状者へのPCR検査は必要ないという立場ですが。

 「実際、濃厚接触者ではない無症状者からも、陽性者は出ています。その怖さは、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の患者の受け入れや、4月に発生した都立墨東病院でのクラスターで実感しました。『どこで感染したのか、全く思い当たらない』という人が多くいました」

 ――となると、国の路線は間違っていると。

 「接触者を追ってクラスターをつぶしていくという方法も、患者を減らすという点では誤りではありません。でも第1波は社会経済を止め、企業や学校を閉めて乗り越えました。今回は人の活動はそのままで、警戒心も緩んでいます。そんな中、本当にクラスター調査だけで間に合うかというと、難しいと思います」

 ――一斉検査は感染者を掘り起こし、医療機関の崩壊につながりませんか。

 「そういったご意見はあります…

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