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 菅政権がめざす75歳以上の医療費の窓口負担の引き上げをめぐり、与党から異論が出ている。次期衆院選をにらみ、コロナ禍での負担増に国民からの反発を懸念するためだ。政府は来週中の閣議決定を視野に4日の全世代型社会保障検討会議で政府案を示すことをめざして調整中だが、政府・与党で折り合えるかは見通せない状況だ。

 政府は「団塊の世代」が75歳になり始める2022年度から、一定所得の人の負担を1割から2割に引き上げる方針だ。対象範囲についてどこで線引きをするかなどが議論されている。

 これに対し、公明党の竹内譲政調会長は2日、首相官邸を訪れ、加藤勝信官房長官に結論の先送りを申し入れた。公明はコロナ禍で医療費が減少し、4~7月には推計で国費負担が計約2千億円減少していると主張。「拙速に結論を出すのではなく、引き続き検討・分析を」と要望した。

 竹内氏は申し入れ後、記者団に「足元の条件がぐらぐら動いている。あまり慌てない方がいい」と政府の動きを牽制(けんせい)した。

 公明が懸念するのは、次期衆院選や来夏の東京都議選への影響だ。コロナ禍での負担増の議論には慎重な立場で、政府の児童手当の縮小方針についても反対の姿勢を鮮明にしている。山口那津男代表は1日の定例会見で「コロナの感染で世代を問わず苦しんでいる」と訴えた。

 自民党でも、2割負担となる所得基準をめぐって意見が割れている。

 党の「人生100年時代戦略本部」の1日の会合。ある出席議員は、高齢化の中で現役世代の負担が増すことに「これ以上の負担を現役世代に求められるのか」と指摘。2割負担の対象者をできる限り多くすべきだと訴えた。

 一方、高齢者の負担が増えると受診を控え、結果的に健康悪化につながるとして、2割負担の対象者を少なくするべきだとの慎重論も相次いだ。衆院選への影響を懸念する声もあった。

 結局、同本部が取りまとめた文書は、「一定所得以上の方に限って、窓口負担割合を引き上げるべきだ」との表現にとどめ、具体的な所得基準や負担割合の方向性は書き込まなかった。

 下村博文政調会長は1日、菅義偉首相と電話で協議。下村氏は2日の会見で、「公明党も慎重で、我が党でも慎重な意見がかなりある。国民目線で、最終的に政府と与党が折り合える一致点をつくっていく」と述べた。

 一方、政府は2割負担を進める方針だ。麻生太郎財務相は11月の記者会見で「可能な限り広範囲に2割負担を導入するという考え方に沿って、検討は進められるべきだ」と主張。政府高官は「若い人たちに負担を押しつけてばかりじゃだめだ」と述べ、強気の姿勢を崩していない。(太田成美、久永隆一)