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 経団連は来春の春闘に向け、「一律のベースアップは困難」とする基本方針の原案をまとめた。この春まで賃上げに前向きな見解を表明してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて8年ぶりに否定的な姿勢に転換する。年内にも方針を決める。

 原案では、コロナ禍で運輸や観光、飲食などは業績が大幅に悪化しているが、製造業や情報通信などは影響が小さく、業種や会社によって差が大きいと指摘。業績が悪化している企業は「事業の存続と雇用の維持を最優先にし、ベアは困難」だとした。一方で、業績が安定している企業は「ベアも選択肢」であるとした。労働組合の中央組織・連合は春闘でベアを「2%程度」とする方針を決めている。

 経団連はこの春、「賃金引き上げのモメンタム(勢い)の維持に向けて、各社一律ではなく、自社の実情に応じて前向きに検討していくことが基本となる」とし、賃上げを企業に呼びかけていた。経団連が賃上げに前向きな姿勢に転じたのは2014年の春闘から。当時の安倍晋三首相の求めに応じたためで、「官製春闘」と呼ばれるようになった。(諏訪和仁)