笠原真
アフガニスタンで人道支援に取り組んできたNGO「ペシャワール会」の現地代表、中村哲医師が凶弾に倒れてから、12月4日で1年になる。いまだ混迷を極める同国の情勢に安定の兆しはあるのか。国際協力機構(JICA)職員としてアフガニスタンの復興支援に携わった経験がある立命館大学の嶋田晴行教授(国際協力)に聞いた。
――JICA職員時代に中村哲さんとも交流があったそうですね。
中村さんとは何回かお話ししたことがありました。ペシャワール会は長年にわたり、現地の人材とともに大きな灌漑(かんがい)施設をつくり、アフガニスタンの砂漠地帯を畑や田んぼに変えてきました。想像を絶する偉業だと思います。しかも、事業が行われていたパキスタン国境付近は非常に治安の悪い地域です。JICAなど国際的な援助機関でも事業を行うのが難しい場所で、とてつもないスケールのことを過酷な条件の中でやられていたんです。
――JICAでも難しいことだったのですね。
それだけの信念が中村さんにはあったのだと思います。JICAもペシャワール会の灌漑事業に協力していたことがあり、月に1度、事業報告をもらっていました。中村さんからいつも施設の写真をたくさん添付して報告していただいたのですが、どれだけ現地に根付いて、人々に受け入れられ、命を懸けてやっているのかが伝わってきました。
拡大するアフガニスタンの首都カブールでキャンドルをともして中村哲さんを追悼する人々=2019年12月5日、ロイター
一度中村さんに素朴な質問をしたことがあります。「危なくないですか」と聞いたのですが、彼は「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と一言、答えました。アフガニスタンのために覚悟を決めて取り組んでいる、そんな姿勢が伝わってきました。
――今後、アフガニスタンの国際的な復興支援は進むのでしょうか。
11月にスイスのジュネーブで…
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朝日新聞国際報道部