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 農業を営む家族が互いの月給や休日、経営方針などを話し合って書面にする「家族経営協定書」の調印式が10月中旬、岐阜市のJAぎふ七郷支店であった。

 同市木田で鉢花などを栽培する「福井園芸」の福井真一さん(59)と妻公子さん(52)、母幸子さん(84)、長男崇年さん(27)の4人で、崇年さんが家業を継ぐ決意をしたことから、真一さんが「後継者として責任感を持ってほしい」との願いを込め、協定を結ぶことを提案した。

 真一さんは岐阜農林高校を卒業業、農業大学校で施設園芸の技術を学んだ。2年間、農家で修業した後に独立し、36年になる。現在、約2500平方メートルのハウスを管理している。

 崇年さんは、サラリーマン時代から休日にカーネーションなどの栽培を手伝っていて、「消費者から信頼されている技術を絶やすわけにはいかない」と決意したという。

 協定書には、役割分担をはじめ、収益配分や就業時間、休憩時間、休日などが細かく決められている。福利厚生面では「年に数回、家族で外食する」「崇年さんのキャンプなどを許可する」「年に1回、真一さんと公子さんは旅行にいく」などと記された。

 協定書には、市農業委員会や県、市、JAぎふの関係者が立会人として署名をした。崇年さんは「老朽化した施設の建て直しを進め、新品種の栽培にも力を入れたい」と意気込む。

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 家族経営協定は、国が1995年から政策に位置づけて推進してきた。県内の締結数は2011年の345件から、今年3月には619件まで増えた。

 県農業経営課によると、協定により家族が経営者としての意識を持つほか、農家の妻や若い後継者らが休みを取りにくい状況を改善したり、家事分担を明確化したりする狙いがある。締結にJAや自治体の関係者らが立ち合うこともある。

 県の担当者は「協定のことを知らない農家も多いので、まずは存在を知ってもらいたい」と話す。(松永佳伸、高木文子)