プニューウェック=野島淳
ポーランド各地の炭鉱が「脱石炭」の波にもがいている。発電の約7割を石炭に頼るエネルギー構造を支えてきたが、欧州連合(EU)による気候変動対策でそうも行かなくなった。コロナ禍にもさいなまれる斜陽の炭鉱に、活路はあるのか――。(プニューウェック=野島淳)
拡大するポーランド南部プニューウェックの炭鉱で、すすにまみれて働く作業員。春以降、新型コロナウイルスの感染が拡大した=2020年10月16日、ダビッド・ラフ氏撮影、JSW提供
ポーランド南部のシロンスク地方は欧州有数の石炭の産地で、工業地帯として栄えた。争奪が繰り返されたこの地の多くは第2次世界大戦前まで、ドイツ領だった。
その中心都市の一つカトウィツェ近郊に、石炭採掘会社JSWのプニューウェック炭鉱がある。いまも約6千人が働く。作業用エレベーターで地下約830メートルにある採掘場に下り、トロッコ列車と徒歩で約1キロ進む。最先端の採掘現場に着いた。
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気温は約30度。立っているだけで汗がしたたり落ちる。粉じんが舞う現場で、すすで顔や作業服を真っ黒にした作業員たちは、1日約7時間半働く。とがった歯の付いた円形ドリルを操作し、高さ約2・5メートル、幅約4・5メートルの半円筒状の現場の壁を、はいでいく。壁はぼろぼろと崩れながら倒れ、ベルトコンベヤーに載って運ばれていった。
製鉄に使うコークスの原料になる石炭を1日約1万4千トン掘る。現場責任者のマレックさん(32)は「鉄のない世界は考えられない。掘った石炭が貢献できるのがやりがいだ」と話す。
この炭鉱が春先、恐怖に包まれ…
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