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コラム「多事奏論」 編集委員 高橋純子

 ひと月半ほど前、ランチが安くておいしいとの評判を聞き、古い雑居ビルにある、10人も入れば満杯のすし店に行った。

 若い店主はコロナで客が減って大変だとひとしきり嘆いたあと、「菅総理には期待してるんです」。へえ。どうして? 「たたき上げの苦労人と言われてるし、庶民の感覚っていうか、僕たちみたいなののことをわかってくれるんじゃないかと」。そうかもねとそうだったらいいねとそうじゃないと思うよが胸の内で交錯する。小ぶりのウニの軍艦巻きを頰張る。うまい。甘い。

 ごちそうさま。会計を済ませて席を立つ。ぜひまた来てください、助けてくださいよと、店主は笑顔で繰り返した。

 新型コロナウイルス感染拡大、第3波。だが菅義偉首相は就任時に会見を開いて以来この間まともに記者会見を開いてこなかった。官邸のエントランスで手元の紙に目を落としつつ、一方的にご託宣を授けるばかりなり。「静かなマスク会食をぜひお願いしたい」。この感じ、何かに似ている。そうだ。子どものころに運動会や卒業式で聞いた、来賓あいさつだ。

 地元の名士らによる文字通りに…

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