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 長崎県立西陵高校(諫早市)で11月、剣道部の合同稽古中にコーチが意識を失って倒れたが、心臓マッサージや自動体外式除細動器(AED)で意識を取り戻した。部員の一人はテストにも出た知識を生かし、人命救助に一役買った。

 11月14日正午ごろ、西陵高の剣道場で「事件」は起きた。部員の一人がAEDを取りに行ったが、なかなか戻って来ない。2年生部員の中江駿介さん(17)は居ても立ってもいられず外に飛び出した。

 その日は朝から、長崎市立緑が丘中学校剣道部と合同稽古をしていた。締めくくりに試合形式の「地稽古」をしていたとき、生徒の相手をしていた同中の外部コーチの男性(52)が突然横向きに倒れた。見学していた保護者らが、すぐ心臓マッサージを始めた。

 同高剣道部顧問の板村尚幸さん(39)は、部員にAEDを取って来るよう指示した。設置場所は、剣道場の下にある雨天練習場と剣道場の上にある体育館の2カ所。雨天練習場は15秒ほどで往復できるが、体育館は2階分の階段を上り下りしなければならない。

 飛び出した中江さんは雨天練習場のAEDを取って、先に取りに出た部員より早く戻って来た。AEDで電気ショックを与え、再び心臓マッサージをするとコーチの意識が戻った。

 西陵高では1年時、保健体育で心肺蘇生法について学ぶ。校内のAED設置場所はテストに出される。保健体育の教員でもある板村さんは、授業の内容を覚えていた教え子をたたえた。

 倒れたコーチは、稽古によく顔を出してくれる元部員の父親。中江さんは「お世話になっている先輩のことを考えながら、人命救助に協力した。初めてだったのでびっくりしたが、生きていく中で何回かはあるのかな」と控えめだ。

 諫早消防署は、中江さん、心臓マッサージや119番通報などをした西陵高と緑が丘中の部員の保護者らに感謝状を贈った。(中川壮)