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 今年3月24日、北海道東部、太平洋に面した浦幌町。例年よりも静かな町立浦幌小学校に、春が訪れている気配があった。

 「大切な仲間と目的地へ羽ばたこう 先生、本当にありがとう」

 コロナ禍で短縮された卒業式の会場となった体育館に、柔らかく、伸びやかな歌声がスピーカーから響いた。未来へ羽ばたく人へのエールを込めた、歌手半崎美子さんの「明日への序奏」。一言ずつかみしめるような丁寧な歌は本人によるものだったが、一部の歌詞は違っていた――。

 北海道では全国に先駆けて新型コロナウイルスの感染が拡大し、2月末に道独自の緊急事態宣言が出された。人口4500人ほどの町の学校も臨時休校となり、3月から始まった分散登校でも1時間しかいられない。卒業式も例外ではなかった。下級生の出席は見送られ、6年生だけの式となった。

 それでも、先生たちに感謝を伝えたい。特に最後の2年間、ほとんどの科目を習った担任の先生に。イベントのたびに、クラスのだれより前のめりな熱い先生。背古桃花さん(12)も、そんな一人だった。

 式のあと、みんなで校舎の外で歌を歌うのはどうだろう。友だちとLINEで相談し、「集まって練習しなくても歌える曲を」と、昨秋に校内の発表会で歌った「明日への序奏」に決めた。終盤の歌詞は、桃花さんが先生たちへの感謝の言葉に替えた。

 だが、企画は学校側に伝わって止められた。飛沫(ひまつ)感染のおそれがある、との理由だった。校歌すら歌えないコロナ禍の卒業式では、歌を口ずさむことはできそうにない。「もう無理かな」。先生たちへのサプライズはあきらめかけた。だが、このまま終わりたくはない。

 式の2日前のこと。桃花さんの…

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