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 英国での新型コロナウイルスの流行が、東京電力福島第一原発の廃炉作業にも影を落としている。溶け落ちた核燃料「デブリ」の取り出しに向けて英国で開発中の装置の試験が、新型コロナの影響で遅れているからだ。政府や東電は来年中に2号機での試験的な取り出しをめざすが、暗雲が漂っている。

 炉心溶融した1~3号機の中でも、2号機は内部の調査が進んでおり、格納容器下部にあるデブリとみられる物質をつかめることを確認した。現場の放射線量が比較的低いこともあり、2号機から取り出しを始める。まずは試験的に、専用ロボットアーム(長さ約22メートル、重さ約4・6トン)などを使い、デブリ1グラム程度を数回取り出す。

 廃炉作業の研究開発を担う国際廃炉研究開発機構(IRID)によると、専用のアームなどの製造を請け負うのは、英国の核融合炉の保守点検用アームの製造実績がある企業。当初の計画では、英国の施設で格納容器などの模型を使った試験を8月ごろに始め、来年2月ごろに日本に装置を運び、作業員が操作訓練をする予定だった。

 ところが、英国では新型コロナの流行が拡大。8月以前から工場の稼働人数を絞ったため、試験はまだ始まっていないという。

 廃炉作業責任者である東電の小野明・福島第一廃炉推進カンパニー代表は先月26日の会見で「一部の試験を英国でやって、残りを日本でできないか、検討している」と説明。来年中の取り出し開始は十分可能という認識なのかと問われ、「そこも含めて精査していきたい」と明言を避けた。(福地慶太郎