拡大する写真・図版「M―1グランプリ」の出場経験を振り返った落語家の桂吉弥。M―1を意識したポーズで=2020年11月、大阪市北区

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 12月20日に決勝を迎える「M―1グランプリ2020」。漫才のガチンコ勝負に、異ジャンルから挑む人たちがいる。10年前に落語家コンビで出た桂吉弥さんもその一人。結果はいかに――。

サンド優勝に刺激

 出場のきっかけは、2007年のサンドウィッチマンさんです。当時、僕はNHKの連続テレビ小説「ちりとてちん」の収録をしていました。共演の貫地谷しほりさんに「どんなんでしたか」と聞かれたので、テレビで見た彼らのピザ屋のネタを1人でやってみせました。

 そうしたら「面白い」って。敗者復活からの優勝もすごかった。吉本興業の所属じゃなくても認められるんや、僕もそうじゃないし芸も違うけど、やってみようと思い、同年代の桂紅雀(こうじゃく)さんとコンビを組んだんです。

出演情報
12月7~11日午後5時、大阪市中央区の島之内教会で落語会「桂吉弥のお仕事です。Special in 島之内教会2020」。前売り2500円(当日3千円)。米朝事務所(06・6365・8281)。

「べにや」の戦い

 コンビ名は「べにや」。紅雀の「紅(べに)」と吉弥の「弥」。東京で受けた1回戦は通りました。とにかく2人で一生懸命しゃべりました。2回戦は大阪でした。自分たちでつくったネタの練習はできていたと思います。当日、会場のホールに上がっていくエレベーターで「指詰め、ご注意ください」のアナウンスがあったんですよ。この「指詰め」がおもろいから、紅雀さんがツカミにしようと言い出したんです。

 ネタに入る前に、ウケると思ってやったらお客さんはシーン。それに、僕らが知られていなかった東京と違って「あれ、吉弥ちゃうん」なんて声がいくつか聞こえてきた。頭がカッーとなって、テンポも狂ってしもた。2回戦でアカンかったですね。練習はしてたのに、ナメて色気を出した天罰だったのかなあ。

落語と漫才の違いは

 「お前のせいでこうなったやんか~」「こんな雰囲気になってもうたがな」

 今から思えば、ツカミでスベッても、そんな風にフォローするゆとりが僕にあれば。紅雀さんをもっと信頼すべきだったと思います。1人でコントロールできる落語と、相方のいる漫才の違いです。2人の気持ちを一つにして、よほどしっかりした世界を作り出さないと漫才のコンテストでは通用しない。芸歴は15年くらいあったんで、もっとやれると思っていたんですけどね。M―1の難しさ、怖さを知りました。

 お笑い界のジャパニーズドリーム。毎年、テレビで見て刺激を受けています。突っ込むようで突っ込まない去年の決勝のぺこぱさんもそうだったけど、M―1は新しい何かを見られる。今年も楽しみにしています。落語もがんばらなアカン。(篠塚健一)

紙面掲載のお知らせ
M-1については、7日付の朝日新聞朝刊「文化の扉」で詳しく紹介する予定です。

拡大する写真・図版2010年の「M―1グランプリ」に落語家コンビで出場した桂吉弥=2020年11月、大阪市北区