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 大分県日出町の山中に計画が持ち上がっているイスラム教徒(ムスリム)専用の土葬墓地について、定例町議会は4日、計画に反対する住民の陳情を賛成多数で採択した。水源への土葬墓地の影響による不安が理由。本田博文町長は「議会や住民の判断は尊重する」とする一方、墓地の整備に関する町条例に伴うムスリム側との事前協議中で、話し合いは続ける考えを示した。

 計画反対の陳情は8月、区長2人が池田淳子議長に提出した。「計画地から下方約1・2キロにある生活・農業用のため池などに墓地からの排水が流れ込み、農作物の風評被害が心配される」と訴え、整備に反対する周辺住民ら約100人分の署名簿をつけたという。

 計画に反対する議員は議場で「問題は日本の大部分が火葬の現在、土葬で埋葬すること。予定地近くのため池の水を気持ちよく使えますか」と主張。別の議員は「住民の不安を解消する方法が、町や宗教法人から示されておらず反対せざるを得ない」と述べた。

 傍聴席には予定地周辺の住民10人近くが陣取った。閉会後、前区長の末綱文雄さん(77)は「生活、農業、飲み水に使うため池が守られ、ほっとしている。賛成するなら、その人の場所の近くに建てて」。

 一方、議場外では別府ムスリム協会代表のタヒル・アバス・カーン・立命館アジア太平洋大教授(53)らが、議場を映すテレビを見ながら「私たちは墓地を10年以上前から探し、現状でも町長の許可を約3年待っている。私たちがどれぐらい困っているか分かってもらえないのでしょうね」と肩を落とした。

 許可権者の本田町長は議会後の取材に、「陳情は尊重するが、今は宗教法人と事前協議の段階。法律や町条例を逸脱してまで作ったり、取りやめたりはできない」と審査に粛々と取り組む姿勢を示した。(加藤勝利)