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 来春、栃木県小山市役所が新庁舎に引っ越す。個人宅の引っ越しでも大騒動だが、市役所全体となると規模もデカい。現庁舎や別館、教育委員会にため込まれた書類は積み上げると、約9500メートルにも及ぶという。今のままでは3分の1が収容できない。どうやって断捨離するか、職員は頭を悩ませている。

 書類の分量を示す「ファイルメーター(fm)」という単位がある。A4判のファイルを積み上げ、高さが1メートルになると「1fm」となる。現庁舎の書類量は約600立方メートル。fmに換算すると9500fm。しかし、新庁舎には約400立方メートル、6400fmしか収容できない。

 現庁舎は耐震強度不足が指摘され、17年に建て替えが決まった。新庁舎は地上8階、延べ床面積1万9892平方メートル。来年3月12日に竣工(しゅんこう)し、5月の連休中までに引っ越しを終える計画だ。

 市本庁舎整備推進室によると、書庫の収容能力はペーパーレス化、電子化を勘案して、現在より削減したという。「各部課ごとに書庫は用意するが、半分に減らす必要がある」

 文書削減の陣頭指揮をとるのは市行政経営課の岡田右課長だ。2018年11月以降、これまでに3回、文書の保存、廃棄作業を要請したという。「新庁舎に持っていける書類は今の半分程度。文書館に移すなり整理を進めてほしい」と呼びかける。

 「現状はあまり進捗(しんちょく)していない。年末や年度末のタイミングで減らすことを改めて呼びかけたい」

 新庁舎になった茨城県結城市役所を視察した浅野正富市長によると、執務室で4割、書庫で6割の書類削減を実施していた。約4千fmが2千fmに減ったという。「結城市は小山市と同じ設計事務所の担当だった。こんな感じになるのかと実感できたが、さて小山の書類整理が大変だと思った」ともらした。

 16年に新庁舎に移転した下野市役所では書類を約65%削減した。どちらも担当者は「仕事のスタイルを変えるしかない」。

 佐野市は書類の管理や取捨選択方法の指導を受けるために外部の専門業者を入れた。11年の東日本大震災で旧庁舎が被災して仮庁舎に移転。15年に新庁舎に移った。

 市は仮庁舎に移った13年から2年計画で書類管理のシステムを導入。業者は職員の意見などを聞きながら、3234fmの書類を1952fmまで減らす助言をしたという。

 市行政経営課は「職員の意識を変える必要があった。それには第三者の目を入れて改善したのが有効だった」と振り返る。今でも年に1度は専門業者のチェックを受けている。

 小山市の現庁舎。市民の来訪が少ない3階以上は通路にまで書類ロッカーが並んでいる。庁舎内の写真撮影を求めたが、「自分の家の恥をさらすようなもの」と許可は出なかった。

 机脇の4段引きのキャビネットを空にしたという小林功総務部長は「建設や道路、都市計画など、どうしても紙資料が必要な部課はある。それでも削減していく必要がある」。小山市は先ごろ、リモートワークの推進を決めた。そのためにも、ペーパーレス化は待ったなしだ。(根岸敦生