外交官の聴覚障害は「高周波による攻撃」示唆 米報告書

ワシントン=香取啓介
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 2016年から米国の外交官らがキューバなどで相次いで聴覚障害などの体調不良を訴えた問題で、全米科学、工学、医学アカデミーの専門家委員会は5日、マイクロ波などの「指向性パルス高周波エネルギー」が原因として「最も妥当」とする報告書を公表した。意図的な攻撃を示唆する内容で、米政府に対し、将来同様の事例が起きた場合の対策をするよう促した。

 キューバの首都ハバナでは16~17年、米国大使館に勤務する外交官やその家族に聴覚障害や頭痛、めまいなどの障害が起きた。その後、中国・広州の米総領事館職員にも同様の症状が出たほか、米中央情報局(CIA)職員が海外支局を訪問した際にも、被害を訴えていた。

 報告書は国務省の諮問を受けて19人の医師らによって作成された。化学物質や感染症なども検討されたが、外交官らに特有の症状があることや、特定の方向や場所から衝撃や音などを感じたと訴えていることから、可能性は低いとした。

 最も妥当な原因として、携帯電話のように継続的にマイクロ波をだすような一般的な発生源ではなく、特定の方向に向かって、波動を伝える高周波による「攻撃」の可能性を示した。

 また、報告書は、発生源を特定していないが、過去に旧ソ連で、パルス高周波の研究が行われていたことにも言及。欧州・アジアの共産圏の軍人がマイクロ波にさらされた際に、今回の米外交官らと同様の症状を示したという研究も紹介している。

 この問題について、米国務省は17年9月、キューバの米大使館職員の半数以上を帰国させ、その後には在米のキューバ外交官の一部を国外追放する外交問題にも発展した。(ワシントン=香取啓介)