「冤罪と死刑制度を自分事に」 冤罪追った映画監督講演

山田菜の花
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 冤罪(えんざい)と死刑制度の廃止を広く考えてもらおうと、熊本県弁護士会が6日、熊本市中央区でシンポジウムを開いた。5人の冤罪被害者を追ったドキュメンタリー映画「獄友(ごくとも)」を上映。監督の金聖雄(キムソンウン)さん(57)が講演し、「冤罪も死刑も日常では実感を持てないかもしれないが、自分事と受け止めてほしい」と呼びかけた。

 金さんは2010年から7年ほどかけて、殺人の罪に問われて死刑が確定し、再審を求めている「袴田事件」の袴田巌さんら5人に密着。いずれも同じ刑務所などで過ごした「獄友」で、釈放後の交流や、長期間自由を拘束され死刑執行におびえた後遺症などを、115分にわたってつぶさに撮影した。

 金さんは講演の冒頭、日本の裁判史上で初めて、死刑判決が確定後に再審無罪を勝ち取り、5日に95歳で亡くなった免田栄さん=現・熊本県あさぎり町出身=に触れた。「袴田さんが釈放された後、(袴田さんの姉の)秀子さんの横で楽しそうにお酒を飲んでいた姿が印象的だった」。訃報(ふほう)に接し、「日本では8割が死刑制度を容認していると言われるが、そんな中で免田さんが司法にも誤りがあると指摘した」とたたえた。

 映画の撮影前、過去に「殺人犯」と扱われた冤罪被害者との向き合い方に戸惑ったという。だが、獄中で青春を共に過ごした仲間たちの明るさに拍子抜けした。「冤罪を問う使命感よりも、権力の不条理を超えた前向きな生き方に魅せられた」

 また、免田さんが釈放されたのは57歳で、今の自分と同じ年齢だと説明。「今日からまた新たな気持ちで撮り、少しでも冤罪や死刑について考えるきっかけになれば」と話し、死を悼んだ。(山田菜の花)