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 【愛知】ベトナム人の元留学生が名古屋市内で立ち上げたベンチャー企業「HACHIX(ハチエックス)」が順調に業績を伸ばしている。中小・零細企業をAI技術などでサポートする事業が好評だという。代表のグエン・コン・タインさん(36)は「将来は日本とベトナムの架け橋になりたい」と夢を語る。

 ハチエックス社は元ベトナム人留学生ら3人で2017年7月、名古屋市千種区で設立、いまは創業4年目だ。グエンさんは大阪大学大学院を卒業し、エンジニアとしてブラザー工業で5年半勤務した後、起業。人工知能(AI)と大学で学んだセンサー技術を組み合わせ、中小・零細企業向けに安価な業務サポートシステムを提供している。

 中小企業をターゲットにしたきっかけは、ベトナム人同士の情報だった。「ベトナムから来た実習生たちが働く会社はたいてい中小、零細。工場を訪ねると驚くほどアナログだった。僕らベンチャーの商品は大企業には相手にされないけど、ここなら市場になる可能性があると思った」

 中小でも導入しやすいように、公開されているソフトウェアを基盤にしてシステムの開発コストと販売価格を大幅に抑えた。現在は、ビルの日々の電力や冷暖房の使用量をAIで予測して管理するシステムや、プラスチック加工工場の生産スケジュールを自動的に作ったり、不良品を検知したりするモニタリングシステムを開発・提供する。

 現在、開発中なのが、公道の植栽の伸び具合をカメラで認知して適当な伐採時期をAIで判断するシステムや、新型コロナウイルスの感染拡大に応じて顔認証と体温測定が同時にできるシステムなど。売り上げは1年目の約300万円、2年目約1千万円、3年目約2千万円と順調に伸びている。今年はコロナの影響で少し成長が鈍ったが、昨年の1・5倍の伸びは確保できそうだという。

 社名のハチエックスには二つの由来がある。一つは、創業の地・名古屋市のシンボルマーク「まる八」の8を横にすると無限記号∞になること。もう一つは、創業メンバー3人が全員1980年代生まれということ。母国ベトナムは70年代まで米国との長い戦争が続いた。グエンさんの父親も軍隊経験があり、戦死した親類も少なくない。「僕たちが生まれたのは、やっと平和を迎えた80年代。常に平和に感謝しています。技術でより良い平和な世界を作りたいんです」

 目指すのは、大企業だけでなく、すべての人が最新技術の恩恵を得られる社会。その恩恵は日本国内の中小企業にとどめず、ベトナムにも届けたい。いずれは母国にも支社を作って人材を育て、両国の架け橋になるように事業を拡大するのが夢だ。「まだ、道は1%も進んでいないんですけど」。照れくさそうに、そう言って笑った。

 問い合わせはメール(contact@hachi-x.com)で。(小西正人)

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