[PR]

 働き手を外国人労働者に頼り、自国民よりも外国人の人口が多い国さえある中東の湾岸諸国に、変化が起きている。「自国民優先」を強めつつ、人権侵害との悪名も高かった雇用制度の見直しも進む。その背景とは。(ドバイ=伊藤喜之)

 「コロナの影響で人員整理をしなくちゃいけない。君のポストは次からサウジアラビア人に代わる」

 サウジアラビアの首都リヤドのスポーツジム。マネジャーとして指導員やスタッフの管理業務を任されていたアミン・アフマドさん(32)は9月、上司からの解雇通知に耳を疑った。

 エジプトから出稼ぎに来て4年目。月収は8千リヤル(約22万円)。友人とルームシェアで部屋を借りながら、故郷でアパートを買い、結婚することを夢みてお金をためていた。仕事もやりがいがあり、居心地よく感じていた矢先だった。

 「失望した。悲しくて仕方なかった」。9月末で解雇され、求職中だ。仕事を探せなければエジプトに帰る以外にない。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で求人は激減している。

労働力の自国民化、官も民も

 人口約3400万人(2019年推定)の約4割の約1300万人が外国人のサウジでは、民間企業を中心に働き手を外国人から自国民に切り替えるよう促す政策が進む。8月からは主に小売業で、全従業員の70%は自国民を雇用するよう義務づけられた。

 同じ湾岸の産油国クウェート。サバハ首相は6月、地元報道機関との会合でこう述べた。「理想の人口比はクウェート人が70%、非クウェート人が30%」

 実際は約420万人(19年推定)のうち自国民は約3割。外国人が約7割を占める。政府は大卒資格がない60歳以上の外国人のビザ延長を認めない方針を決め、年内の国外退去を求めている。政府機関や国有の石油関連企業では外国人から自国民への置き換えが進んでおり、民間企業にも広がりそうだ。

 こうした「自国民化」政策は湾岸諸国で以前からあった。サウジでは1985年につくられた経済開発計画で「サウダイゼーション(サウジ人化)」の用語とともに初めて取り入れた。

 湾岸産油国では待遇のいい公務…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら