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 核兵器禁止条約が来年1月に発効する。画期的な国際合意ではあるが、核保有国が背を向ける現状に日本社会には「非現実的」と冷ややかな視線もある。条約は世界を変えられるのか。

小説家・平野啓一郎さん「日本は取り残されている」

 「核兵器はなくせるなら、なくした方がいい」。大半の人がそう思っているでしょう。その上で、多くの人が「でも、日本は米国の『核の傘』の下にいるのだから、条約には賛同できない」と考え、「それが現実主義だ」ととらえている。それは思い違いではないでしょうか。

 長崎を訪ねてみてほしい。小さな町だけど、海があり、丘に囲まれ、異国情緒がある。人は素朴で優しい。小説「マチネの終わりに」でも、町の魅力がインスピレーションになりました。この小さな町の人たちが原爆投下後の一瞬でどうなったのか。長崎で被爆し、2017年に亡くなった林京子さんの小説では、当時を語る人々の長崎弁が、痛烈に胸に響きます。

拡大する写真・図版平野啓一郎さん

 日本には核兵器によって命を奪われた人、人生をめちゃめちゃにされた人がたくさんいる。その事実や証言があったから「核兵器は存在すべきではない」という運動が日本の外でも広がり、条約につながった。にもかかわらず賛同しないことを、日本政府は恥ずべきです。

 いま「現実主義」とされるものの多くは、単なる「現状追認主義」です。核兵器をめぐる日本政府の姿勢は、原発事故が起こった後、他国では再生可能エネルギーが発展した中で、かたくなに原発を維持していることと重なって見えます。世界の取り組みは迅速です。日本が「非現実的」と言っていたことが現実となり、いまやさまざまな分野で取り残されています。

 本当に核兵器によって均衡が保たれているのか。米国の核が日本を守っているのか。イラク戦争を見ればわかるように、通常兵器でも相手を徹底的に破壊できる。局所的な戦闘ではドローンによる無人爆撃が行われ、戦争のイメージは、冷戦時代の「核兵器による全面戦争」から変化している。米国やロシアの影響力が低下する将来、それらの国が地球を何度でも破滅させられる核を保有し続けることを、世界がいつまで許容しますか?

 核兵器だけでなく、気候変動などを見ても、人類は「サバイブできるかどうか」というフェーズに入ってきています。スウェーデンの環境運動家グレタ・トゥンベリさんら若い人たちが強い危機感を抱いて動き始めています。

記事の後半では、被爆地・広島選出の岸田文雄・元外相、「人道的軍縮」を提唱する国際政治学者の目加田説子・中央大教授に話を聞きます。

 そうした人たちを、日本ではシ…

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