社会的事件を題材にした「ルポルタージュ絵画」で知られる画家の池田龍雄(いけだ・たつお)さんが11月30日、誤嚥(ごえん)性肺炎で死去した。92歳だった。葬儀は近親者で営んだ。喪主は妻紀子(のりこ)さん。

 佐賀県生まれ。17歳のとき、特攻隊員として訓練中に敗戦を迎えた。故郷へ戻り師範学校に編入するが、軍国主義者とされ退学。1948年に多摩造形芸術専門学校(現・多摩美術大学)に入学し、岡本太郎や花田清輝らの「アバンギャルド芸術研究会」に参加した。

 文学や演劇などジャンルを超えた戦後芸術を吸収するなかで、50年代から風刺とユーモアを交えたペン画シリーズを発表する。国家権力に振り回された体験に基づく反骨精神で、政治や社会問題に向き合う迫力ある表現を展開。「ルポルタージュ絵画」を代表する一人と評価されている。

 60年安保闘争に敗れて挫折感を味わった以降は、政治的な作品から距離を置き、生命や宇宙の成り立ちを捉えた深遠な表現へと移っていった。45歳から手がけた連作「BRAHMAN(ブラフマン)」シリーズは300点にも及び、90歳を超えても描き続けた。2018年、東京・練馬区立美術館で大規模な回顧展を開催した。