苦境の路線バスに助太刀 「鬼滅」上映館に向かう乗客増
千葉県横芝光町と成田空港、成田市内を結ぶ直通の路線バスが運行を始めて1年となった。知名度不足もあり、乗客は1便あたり2~3人と苦戦しているが、あの人気アニメから思わぬ助太刀もあった。
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10月25日、日曜日の朝。JR横芝駅前のバス停に、空港経由で成田市の「イオンモール成田」に向かうバスを待つ行列ができた。町によると、定員59人のバスに乗りきれないほどだったという。モールに隣接する映画館では同月16日に「劇場版『鬼滅(きめつ)の刃(やいば)』無限列車編」の上映が始まった。
映画が公開されて以降、日曜や祝日の乗客が大きく増えた。町のまとめでは、9月6日~10月11日に6日あった日曜は1日平均49・8人だったのが、10月18日~11月22日の日曜6日間は同75人と、5割伸びていた。町は映画を見に行く人が利用を押し上げたとみている。
直通バスは、成田空港の機能強化に絡む地域振興策の一環として、町が昨年12月に開設した。町役場と空港の間を毎日10往復し、うち約半数は成田市の京成成田駅かイオンモール成田まで乗り入れる。
町にとって、空港や成田市内とのアクセスを向上させる悲願の路線だった。だが、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言も重なり、利用は低迷。起点から終点まで乗客がゼロという便も多い。1年間の累計は1万5742人。1便平均2・1人台だが、9月は2・6人台、11月は2・8人台とやや改善している。
町民の利用だけでなく、隣の匝瑳市などから電車で来て横芝駅で乗り換える人もいるという。町の担当者は「『鬼滅』のおかげで、空港や成田に直行できるバスの便利さを知ってもらうきっかけができた。より多くの人が使ってくれるようになれば」と期待する。(福田祥史)
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