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 日米両国が共通で掲げる外交方針「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」について、米国のバイデン次期政権がそのままの文言では踏襲しないとの見方が出ている。中国の台頭をにらんで日本が提唱し、米国や欧州などへも広がっただけに、日本政府は米国の新たなアジア政策の行方を注視している。(北見英城)

日本提唱政策 文言踏襲せぬ見方

 「バイデン氏はトランプ政権の言葉を使いたがらないだろう」。日本外務省幹部はFOIPについて、そんな見通しを明かす。「政治家は他人の靴は高価なものでも履かない」(同省関係者)のが常だからだ。

 FOIPはインド太平洋地域で、法の支配や航行の自由といった価値を共有する国々と連携し、経済的なつながりを深めつつ地域の安定を図る考え方だ。軍事、経済の両面で台頭する中国に対峙(たいじ)するため、安倍晋三前首相が2016年に打ち出し、翌年発足したトランプ政権が採り入れた。

 米側はそのころ、オバマ政権が提唱した「リバランス(再均衡)」に代わるアジア政策を探していた。日本外務省関係者は「白地に絵を描くようにインプットできた」と振り返る。当時のリバランスのようにFOIPも新政権下で、看板の掛け替えが行われる可能性が高いというわけだ。

 それを予感させるやり取りがあった。先月12日、菅義偉首相とバイデン氏の初の電話協議。菅氏は「『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けて連携したい」と伝えた。これに対し、米側の発表では「『繁栄し、安全なインド太平洋』の基礎としての日米同盟を強化する」方針について協議したとされていた。

菅首相が別の表現 波紋広がる

 そんな矢先、日本政府の発信が揺れて波紋を呼んだ。先月14日、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓の首脳会議後。首相が記者団に「『平和で繁栄したインド太平洋』をともに作り上げたい」と述べ、「自由で開かれた」という表現を使わなかったのだ。

 普遍的な価値観を表すこの部分…

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