3回転半、次こそ 樋口新葉の言葉に表れたその完成度
前田大輔
2015年春。東京都内のアイスリンクで、3回転半(トリプルアクセル)ジャンプの練習を黙々と繰り返すフィギュアスケーターの姿があった。当時、中学3年生の樋口新葉だ。
スケートの軌道を細かく変えたり、助走のスピードを速くしたり、遅くしたり。トリプルアクセルを得点源に、この年の世界選手権を制したエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)の動画をスマートフォンで確認しながら、何十回と挑んでいた。
バンクーバー五輪(10年)で、浅田真央がショートプログラムとフリーの合計で3回のトリプルアクセルを決めた姿を見て、あこがれた。「すごいなと思って。自分も跳びたいなと思った」。練習を重ねるうちに「絶対に、跳ばなければならないジャンプ」という思いを強くした。
歳月が流れ、樋口は大学2年生に。積み重ねてきたジャンプの数は、何千回、何万回となっただろう。11月28日、NHK杯の女子フリーの冒頭で大技に挑戦し、片足で降りた。演技を終えると、目を閉じ、右拳を突き上げた。
「試合できれいに決められた…
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