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 滋賀県立虎姫高校(長浜市)で今年度、国際バカロレア(IB)教育が始まった。高校1年のIB1期生8人が週8コマの「プレ授業」を受けており、12月中旬からは週15~17コマの本格的な授業に臨む。

 「Look at this picture and think about how we can describe it(この写真を見て。どう表現すればいいかな)」

 11月中旬にあった英語の授業で、アメリカ出身のサミュエル・ソレンソン先生が生徒たちに問いかけた。教室の電子黒板には、イヤホンで音楽を聴く女性の写真が映し出されている。生徒たちは、「She is using a smartphone(スマートフォンを使っています)」「This picture was taken in the train(電車の中で撮られたものです)」などと次々に答えた。

 IBは国際的に活躍できる人材を育成するプログラム。虎姫高校は2019年、西日本の公立校で初めて認定校となった。全6科目のうち、英語と「環境システムと社会」の2科目は、教師も生徒も全て英語を使う。しかし、コーディネーターの富岡真理子教諭は「重視するのは英語力だけではありません」と説明する。

 IBでは、生徒たちに目指すべき10の学習者像を示している。「探究する人」「コミュニケーションができる人」「挑戦する人」……。温暖化や経済格差など、答えが一つではない地球規模の課題に向き合うために必要な力だ。

 「授業は意見を交わすことがメインなんです」。1期生の一人、鳥居奨真(しょうま)さんがそう教えてくれた。この日の英語の授業でも、どんな時に音楽を聴くのが好きかを発表し合った。

 文学(国語)の授業では、生徒が詩の1編を選び、技法や解釈をレジュメにまとめて発表する。数学でも、なぜこの解き方になるか、社会の中のどんな場面で利用されているか説明する。いずれも、発表後に他の生徒の意見を聞いて話し合うという。

 他にも必修授業として、思考法を学ぶ「知の理論」や個人研究の「課題論文」がある。高校2年以上の授業数は週30コマ近く。高校3年の11月にある最終試験は、思考力や構成力が必要な論述問題が中心だ。

 試験で一定以上の成績を収めると、海外の大学の入学資格となる。また国内でも、筑波大や広島大が特別枠を設けており、筆記試験が免除される大学もある。

 ただ、虎姫高校の1期生に受講理由を尋ねると、将来の進路より、IBの教育そのものに魅力を感じたという声が多かった。

 間宮樺菜(かな)さんは「人見知りなので、コミュニケーションがとれる人になりたかった」。高田理名さんは「歴史など、日本だけではなく、世界の見方と比較しながら学んでみたい」。

 梅本剛雄校長は「1期生はまさに『挑戦する人』。既に自分の考えをどんどん伝えられるようになっている」と目を細める。来年度も2期生(最大20人)を募集する予定だ。(新谷(しんや)千布美)

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 国際バカロレア スイス生まれの教育プログラムで、略称は「International Baccalaureate」の頭文字。多様性を理解して尊重する精神を持ち、より平和な世界を築くことに貢献できる若者の育成を目的としている。国際バカロレア機構(本部・ジュネーブ)の認定校は、今年6月時点で158以上の国や地域の約5千校に上る。虎姫高校では、16~19歳向けのプログラム「DP」を提供している。

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