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 日本はかつて経済成長の陰で様々なものを捨ててきた。打ち捨てられた建物や鉄道を鑑賞する「廃虚ブーム」に一石を投じたのが、写真集『棄景』だ。著者の丸田祥三さんが写し出した「廃虚」が、私たちに教えるものとは?

拡大する写真・図版多くの見学者が訪れる長崎市の軍艦島(端島)

 11月下旬、記者が訪れた長崎市の軍艦島(端島)は見学者であふれていた。長崎港から高速船で50分。最高品質の石炭を産出した炭鉱の島で、一時は5千人以上が暮らしたが、1974年の閉山で全員が退去。現在は朽ち果てた高層アパート群が残る。世界文化遺産にも登録されている。

 2009年に上陸が許されるようになって以降、100万人以上が訪れたという。

 来訪者の多くが、「来られてよかった」と話していたのが印象的だった。

「なんで、あんなにむごたらしく撮るんだ」

拡大する写真・図版1989年撮影「夢の超特急―新幹線0系の廃車」(『棄景』から)

 日本人は「廃虚好き」と言われる。現在に続くブームは80年代に端を発するが、その流れに一石を投じたとされるのが、93年刊行の『棄景』だった。著者は当時新進気鋭だった写真家の丸田祥三さん(56)。大学卒業後、東映のテレビ事業部で働きながら、休みを使って写真を撮り続けていた。「ちょうどバブルがはじける少し前で、仕事も忙しかったので、遠くまで撮影に行く余裕はありませんでした」と丸田さん。そんな時、東京・国分寺市の鉄道学園の跡地で打ち捨てられた新幹線の0系を見つける。

 最先端といわれた列車の惨状に…

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