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 北海道第2の都市・旭川市で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、地域医療の中核を担う基幹病院までが外来診療や手術の停止に追い込まれている。コロナ以外の医療に影響が出始めており、「医療崩壊」の危機が迫る。地方の医療体制の限界が浮かび上がった。

 9日午前8時、小雪が降るなか、「災害派遣班」と書かれたマイクロバスが吉田病院に到着し、迷彩服を着た看護師ら5人が入っていった。重症障害児者施設「北海道療育園」にも同様に医療チームが入った。

 旭川への自衛隊入りが正式に決まったのは前日夕方。北海道の鈴木直道知事が市の意向を受け、自衛隊に災害派遣を要請した。自衛隊が入った2施設はいずれもクラスター(感染者集団)が発生。寝たきりの高齢者が多く入院する吉田病院と、重症障害者が入所する北海道療育園では、介助を必要とするコロナ患者が多く、医療従事者の人手が足りなくなっていた。

 旭川市では11月6日に最初の感染者が出た吉田病院など9カ所でクラスター(感染者集団)が発生。基幹病院も含まれ、自衛隊の派遣を要請するまでに医療体制が逼迫(ひっぱく)した。

 市内に五つある基幹病院は今秋までにコロナ病床を大幅に増やし、感染拡大に備えていた。旭川赤十字病院は一つの病棟をコロナ専用に切り替えた。防護服を着て看護する医療従事者の負担が重いため、本来は58床使える病棟を3分の1の20床に抑えた。

 それでも寝たきりの高齢者が多かった吉田病院から次々患者が搬送されると、一気に苦しくなった。牧野憲一院長は「トイレや食事の世話、寝返りなどの介助を数人がかりでしなければならなかった」。15~16床が埋まっただけで、スタッフは限界だったという。

 「ギリギリの体制」(牧野院長)が続くなか、11月21日には旭川厚生病院でもクラスターが発生。感染者は9日時点で計253人にのぼり、国内の医療機関では過去最大のクラスターとなった。厚生病院は2病棟をコロナ専用とし、コロナ患者の治療は続けたが、1日約1千人もの外来患者は他病院へ回すことになり、「ドミノ倒し」のように各病院で人手が足りなくなっている。

 特に影響が大きかったのが産科だ。二つの基幹病院で分娩できなくなり、他の病院にしわ寄せがきている。厚生病院では市内の分娩(ぶんべん)数の3分の1に近い年間約800件を扱う。出産日が迫る妊婦から順に他の病院へ引き継ぎを依頼した。

 医師不足のため2年前に分娩を…

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