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 福井県あわら市の製薬会社「小林化工」が製造した爪水虫などの皮膚病治療薬に睡眠導入剤の成分が混入し、服用した患者の健康被害が84件(7日時点)報告されていることがわかった。県が取材に明らかにした。意識消失や記憶喪失などの被害の報告もあり、全国で3人が車の運転中に意識を失って事故が起きたという。

 問題の薬剤は経口抗真菌剤のイトラコナゾール錠50「MEEK」。医師の処方箋(せん)が必要な医療用医薬品で、爪水虫やカンジダ症の治療に使われる。

 同社や県によると、服用した患者から意識消失や傾眠、意識もうろうといった報告があり、製造工程で睡眠導入剤の成分が混入したことが判明したという。

 同社は「作業員が勘違いで量ってはいけないものを量り、袋に入れた」と説明している。

 イトラコナゾール錠は症状によっては多い人で1日8錠服用する場合もある。今回、1錠に含まれていた睡眠導入剤の成分は5ミリグラムで、通常の最大投与量2ミリグラムの2・5倍にのぼるという。

 1~3日に大阪府、佐賀県、岐阜県の男女12人(2~77歳)から被害の報告があり、同社は9月28日~12月3日に全国に出荷した100錠入り929箱の自主回収を発表していた。福井県によると、その後も被害の報告が相次ぎ、今も入院中の人が複数いるという。

 医薬品の副作用などの報告は、メーカーから都道府県に連絡があり、都道府県から国や医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告される。福井県は今回の自主回収を「重篤な健康被害または死亡の原因になりうる」として、3段階の分類で最も危険度が高い「クラス1」と判断。同社に医薬品製造業の許可を出した県は9日、国の承認を受けた薬と異なる成分が混入したことが、医薬品医療機器法違反にあたる可能性があるとみて、同社に立ち入り調査をした。

 同社によると、自主回収を決めた929箱は同じロット番号(T0EG08)で、番号は錠剤シートの裏に刻印されている。同社は、処方された人は医師や薬剤師に相談してほしいとしている。

 このほか、国が承認したものと異なる工程で製造していたとして、ほかのロット番号がついた50「MEEK」と、主成分のイトラコナゾールをより多く含む100「MEEK」や200「MEEK」についても自主回収を始めた。問い合わせは小林化工学術部(0120・37・0690)。

 同社は9日、取材に対して「原因究明、及び本製剤以外も含めた弊社全品の製造体制について徹底的な調査を進めたいと存じます」「被害に遭われた患者様の1日も早いご回復をお祈り申し上げます」とするコメントを出した。

 小林化工のホームページによると、同社は1946年創業で、病院や診療所などで使われる医療用医薬品の研究開発や製造販売を行い、ジェネリック医薬品を提供している。2019年4月~20年3月の売上高は370億円。20年10月現在の従業員数は796人となっている。