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 楽団員の代わりに69個のスピーカーが曲を奏でる「無人オーケストラコンサート」が9日、横浜みなとみらいホール(西区)で開かれた。ホールは来年1月から長期休館するが、主催した横浜市芸術文化振興財団は、同じ音源を使って、公園や学校など様々な場所でホールのリアルなサウンドを再現していきたいとしている。

 曲目は、ベートーベンの交響曲第5番「運命」より▽J・ウィリアムズの「スター・ウォーズ」メイン・タイトル▽ビゼーの歌劇「カルメン」より第1幕への前奏曲、の3曲。4回の公演を、事前予約した計約800人が楽しんだ。

 音源は8月1日に、ヤマハの協力を受けて、このホールで収録された。神奈川フィルハーモニー管弦楽団の各楽団員のそばにマイクを設置。コンサートでは、収録時に各楽団員がいた同じ場所に8種類計69個のスピーカーを置いた。スピーカー同士の干渉を抑えながら各パートの音を重ね、音の方向や広がりなどを再現した。弦楽器や管楽器の近くのスピーカーはそれぞれのハーモニーを際立たせ、打楽器の近くのスピーカーは力強いリズムを刻んだ。鍵盤楽器の近くのスピーカーは、金管楽器の音色に隠れがちなピアノの旋律を浮き上がらせた。

 前日のメディア発表会では、オケを指揮した川瀬賢太郎さんが「自分が振るオーケストラの演奏をホールの客席で聴くという、普通は絶対にできない体験ができた。音楽的な反省が判明した」と話した。

 ホールは来年1月1日から2022年10月ごろまで、耐震化などの大規模改修のため長期休館する。新井鷗子(おーこ)館長は「『移動型みなとみらいホール』と題して、赤レンガ倉庫とか海沿いの場所とか、色々な場所でホールのサウンドを再現することを追求したい」。今回のコンサートを含む「横浜WEBステージ」のクリエイティブ・ディレクターの田村吾郎さんも「広々とした公園や音響特性が違う別のホールでも再現できる。小学校で教育的なことにも使える。様々なアイデアを模索している」と応じた。

 横浜WEBステージは、コロナ禍で活動の場が減っているアーティストを支援するため、来年2月27日まで続く。このホールをメイン会場に、最新技術を用いてアーティストのパフォーマンスを撮影・収録し、動画を配信(https://yokohamawebstage.jp/別ウインドウで開きます)している。問い合わせは同ホール(045・682・2020)へ。(茂木克信)

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