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 狭い路地の地上約5メートルの空中に浮かぶ四角い物体。赤や緑のライトがついたり、消えたり。UFO(未確認飛行物体)にしてはずいぶん低空だけれど……。よく見ると、内側に歩行者のマーク。全国的にも珍しい通称「UFO型信号機」だ。これが今、街中から消えようとしている。

 11月初旬、宮城県大河原町にある小さな交差点。古びたUFO型信号機がぼんやりと光るそばで、真新しい銀色の支柱を立てる作業が進んでいた。見やすくて長持ちと言われる発光ダイオード(LED)を使った新型の信号機のものだ。「UFO」は、その数日後に撤去された。

 正式名称は「懸垂型交通信号機」。1979年ごろから数年間にわたって、県内で設置された。狭い交差点だと複数の支柱を立てるスペースがないため、1本の支柱でつり下げることのできる信号機が開発された。1基約1・2メートル四方の大きさで、4方向に車と歩行者用それぞれの信号が備え付けられている。

 開発した名古屋電機工業(愛知県)によると、視察先のヨーロッパでワイヤにつり下げられている信号機を見かけ、着想したという。同社製のものは、今や愛知県と宮城県にしか残っていないらしい。

 宮城県内では、保守点検をしながら使ってきたが、老朽化が進むのに伴って、徐々に撤去されるようになってきた。県警交通規制課によると、現時点で残っているのは仙台市などの11基。あと3年以内ですべてを撤去する計画だ。交差点の交通量に応じて、新しい信号機を取り付けるか、一時停止の標識に切り替えるのだという。

 消えゆく「UFO」について、同課の丹野直樹課長補佐は「時代の流れだ」と言う。通行の安全確保のため、今後も見直しは続いていく。「形状が変わっても、交差点では信号や標識などをよく確認するようにしてほしい」(川野由起)