SPACと赤石太鼓が共演 「かしわばやしの夜」
阿久沢悦子
【静岡】宮沢賢治原作の朗読劇「かしわばやしの夜」が12日午後2時、川根本町文化会館ホールで上演される。過疎地域に演劇を届ける静岡県舞台芸術センター(SPAC)の活動の一つ。俳優4人と地元の伝統芸能・赤石太鼓保存会が共演し、木々のおしゃべりを表現する。
「かしわばやしの夜」の舞台は人里離れた林の中。木こりの清作(せいさく)が画(え)かきにつれられて林の中に入っていくと、カシワの木々たちが、口々に清作をはやし立てる。それが次第に歌合戦に変わり……という物語。
木々のざわめきや歌のリズムが太鼓で表現される。そこに、樹木役の俳優の「せらせらせら」という輪読がかぶさり、観客は音のうずに巻き込まれていく。
演出の中野真希さん(58)は「川根本町を最初に訪れた時、月が小高い丘や林を照らす様子に、まさにこの作品の舞台だと思った」と話す。
赤石太鼓は39年前、旧本川根町で町おこしのため、始まった。川根高校郷土芸能部などでも取り組まれ、年40~50回の演奏機会があったが、今年は新型コロナウイルスの影響で5分の1に減ったという。20歳前後の若手3人を率いる保存会の清水久貴さん(36)は「演劇との共演はいい刺激になる。何より発表の場ができたのがうれしい」。
同町に住み込みで活動する「レジデントアーティスト」の一人で、太鼓奏者の神谷俊一郎さん(29)も演奏に加わる。
新型コロナ対策で、出演者の間に透明なパーティションを立て、全員マウスガードを着ける。
大人1千円、小学生~高校生500円。チケットの問い合わせは川根本町文化会館(0547・59・3106)へ。(阿久沢悦子)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。