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 北朝鮮のスパイ工作に関する韓国内の捜査・情報収集が大きく変わる。情報機関の国家情報院が担ってきたが、関連法案が近く国会で可決されれば、2023年末にも警察に移管される。韓国中央情報部(KCIA)を源流とする国情院は今後、海外情報やサイバー対策、テロ防止などに権限が縮小される。組織改編の背景には何があるのか。(編集委員・牧野愛博)

北朝鮮スパイを捜査

 国情院の前身であるKCIAは1961年、朴正熙(パクチョンヒ)氏らの軍事クーデター直後につくられた。陸海軍の情報将校50~60人ほどが選抜された。そのうちの一人で、当時は海兵隊司令部情報局分析官だった康仁徳(カンインドク)元統一相によれば、朴氏の腹心だった金鍾泌(キムジョンピル)氏が「激動する国際社会のなかで、情報の収集と分析なしに国家戦略は立てられない」と主張し、結成が決まった。

 朴政権は北朝鮮との激しい体制競争を繰り広げ、KCIAも北朝鮮のスパイ活動やテロ工作の防止に全力を挙げた。

 68年に北朝鮮の武装ゲリラが韓国大統領府の襲撃を企てた事件では計画を事前に察知。国情院元高官によれば、83年に北朝鮮工作員が全斗煥(チョンドゥファン)大統領らの暗殺を企てたラングーン事件や87年の大韓航空機爆破事件では北朝鮮への報復工作を行った。元高官は「詳細は言えないが、工作員を派遣しての軍事的な報復だ。北朝鮮も認識したが発表しなかった」と語る。

 韓国で民主化闘争が激しくなるにつれ、活動は国内の取り締まりに重点が置かれるようになった。康氏によれば、金鍾泌氏が63年ごろ、CIAとFBIのように国内と国外の部門を分離する考えを内部で示したことがある。北朝鮮に対する工作などの力が落ちるという反対意見から実現しなかった。

政治家にハニートラップ

 KCIAは水や電気を使った厳しい拷問を繰り返すなど国内の政治弾圧を担った。人々は当時の本部があった場所から、KCIAを「南山(ナムサン)」と言って恐れた。KCIAが拡大改編されて国家安全企画部に改称した全斗煥政権当時、国内部門で勤務した元職員は、「夜中に政治家を連行して、地下室で心理的に圧力をかけながら脅す調査をよく見かけた」と証言する。

 野党の力をそぐため、当時の組織にはターゲットの政治家を決めたり、脅すシナリオを考えたりする部門があった。「人員はたくさんおり、尾行をつけてスキャンダルを見つけたり、なければハニートラップで無理やり作ったりした。協力しなければスキャンダルをばらすと脅した」

 ハニートラップも徹底していた…

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