[PR]

 かつて「ラーメン不毛の地」ともいわれた大阪で、ラーメン店が活況を見せている。大阪市内では10年で6割近く増え、新規参入する店は、それぞれ特徴的なスープや麺で競い合う。新たな味との出会いを求め、いらち(せっかち)が多いといわれる大阪人も店の前に並んで行列をつくる。

 11月上旬の正午前、大阪市西区の人気ラーメン店「カドヤ食堂総本店」の前に10人を超える行列ができていた。勤務先が近い30代の男性会社員は「つるつるした自家製麺が好み。毎月2回は来る」と話す。

 2001年に同市鶴見区で開店し、10年に西区に移転。これまでに弟子5人が独立した。鶏、豚、魚介からスープを取る総本店の橘和良店主(52)は「00年前後のラーメンブームで開店が相次ぎ、スープや麺で特徴を競い合った」と話す。

 同じく01年に同市北区で開業した「洛二神(らくにじん)」は、東京・荻窪のラーメン店を参考に大阪で当時少なかった魚系和風スープを打ち出した。その後、「00年組」と呼ばれたカドヤ食堂などからのれん分けが相次いだ10年ごろは、創作系といわれる食材や盛り付けに個性を発揮する店が目立った。

 10年に独立し、同市中央区で「ジャンクストーリー」を開いた井川真宏さん(37)は、低温で長時間かけじっくり調理したチャーシューと塩ラーメンを看板商品とし、直営店4店などを手がける。

 「麦と麺助」は同市北区で18年に開店。すし店の白木をイメージしたカウンターの客の半分が女性だ。経営する近藤佑介・麺助社長(39)は「はちまきにTシャツという従来のラーメン店のスタイルを変えたかった」と話す。注文が一番多いのはホロホロ鳥などを使う最高価格(1250円)の商品だ。「お金をかけた料理をしっかり食べる傾向」を感じている。

 大阪府製麺商工業協同組合の太田年明理事長(71)によると、讃岐うどんなどのチェーン店の進出や客の高齢化によって個人経営のうどん店の閉店が目立つという。太田理事長が経営する製麺会社(大阪府松原市)では、30年前には1種類だった中華麺を、形や硬さ、弾力などを店の注文に応じてつくり、約70種類に増えた。製造量はうどんやそばを上回り、半分を占める。

 約20年前からラーメン店を中心に食べ歩きのブログを書いている沖山欣也・日本コナモン協会副会長(68)は「ミシュランガイドに掲載される大阪のラーメン店が増え、かつていわれたラーメン不毛の地ではない」と断言する。(川本裕司)

開店10年後に営業は1割以下

 グルメサイト「食べログ」の登録店数でみると、大阪市内のラーメン店は10年前に比べると店舗数が56%(10月末時点)増えた。

 かつてはタウンページを元に店舗数が推測されてきたが、カカクコムが2005年に開設した食べログの登録店数が10年ごろから実際の店舗数をほぼ反映するようになったとみられている。大阪市内のラーメン専門店は10月末時点で1千店あり、10年前の641店から大幅に増えた。ただ、開店10年後に営業を続けている店は1割以下といわれ、競争は激しい。

 一方で、大阪はきつねうどん発祥の地とされ、うどんが中心の店は553店あるが、10年前よりも約7%減った。ピークは14年だった。

 総務省家計調査によると、2人以上世帯で中華そば(外食)の昨年の支出額は大阪市で4168円。単価アップもあり10年間で約6割伸びた。とはいえ、47都道府県庁所在地では40位以下が定位置となっている。(川本裕司)