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 2018年春。サクラが咲く大阪府門真市の松下幸之助歴史館で、熱心にスマートフォンで写真を撮る外国人の姿があった。

 彼の名はギリッシュ・リッシ。製造業や小売店のサプライチェーン(SC)を管理するソフトウェア会社を率いる。SCとは「つくる」「運ぶ」「売る」という一連のプロセスのこと。リッシが手がけるサービスは、SC全体の流れを把握するだけでなく、設備の故障や交通渋滞といった情報も取り込み、発注や在庫管理を効率化するものだ。提携相手を探していたパナソニックの招きを受け、米国からやってきたのだった。

 パナソニックはレジや物流システム、産業用ロボットなどの生産設備まで手がけ、装置の面から取引先のSCを支えてきた。この部門の強化を任された担当幹部の原田秀昭は「リッシと組めば、パナソニックのビジネスモデルを大きく変えられる」と確信した。

 法人向けのビジネスは家電と並ぶ基幹事業。だが、「稼ぎ方」で悩んできた。大がかりな装置やシステムのため、一度納めると何年も使われる。その間の保守や管理は引き受けるものの、基本的には「売り切り」の商売だ。常に新規顧客の開拓が必要で、設備投資の波にも左右される。

 リッシのソフトを組み込めば、設備更新を待たずに生産性を上げられる。パナソニックが得意とするセンサーや画像認識技術を組み合わせれば、現場の様子をもっとリアルタイムで把握できるようになる。「サービス料」の形で課金できれば、継続した収入が期待できるというわけだ。

 幸之助を尊敬するリッシは、門真を訪れたことで協業への思いを強くした。その後、両社は急接近する。今年には、パナソニックがリッシの会社に約860億円を投じて、株式の2割を握った。原田は「『SCの自動運転』を切り開きたい」と意気込む。

「自前主義」へのこだわり

 パナソニックはこれまで、社内ですべて開発する「自前主義」にこだわってきた。だが、それだけでは新しいビジネスは切り開けない。原田とともにその殻を破ろうとしたのが、上司である法人ビジネス部門のトップ、樋口泰行だ。

電機業界を20年以上ウォッチしてきたモルガン・スタンレーMUFG証券の小野雅弘アナリストに、津賀一宏社長が取り組んできた改革を評価してもらいました。記事後半をご覧ください。

 樋口は新卒でパナソニックに入…

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