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 江戸時代、たびたびはやった疫病を題材にした創作が数多く生まれた。その一つ、長唄風に書かれた読み物に、コロナ下の現代の人間国宝が曲をつけた。不安や不満を笑いに変えた江戸の通人と、現代の邦楽の第一人者との時空を超えたコラボレーションだ。15日に東京で披露され、その後オンラインでも配信される。

海に毒がまかれ…

 作品名は「しに行(ゆき) 三日転(みっかころり)愛哀死々(あいあいしし)」。コレラが大流行した1858(安政5)年ごろの作とみられる。コレラは3日で死ぬほどの急性症状から「三日コロリ」と呼ばれた。これに、当時人気があった歌舞伎舞踊の演目「相生獅子(あいおいじし)」をかけた題名だ。「道行(みちゆき)」をもじった「しに行」は、死出の旅を意味する。

 「海に毒がまかれ、イワシを食べると死ぬ」といううわさ。火葬場の人や僧侶が忙しい目に遭いながらも大もうけするさま……。死と隣り合わせの暮らしが、ユーモアと少しの皮肉を込めて描かれる。不確かな情報が広まり、特定の職が負担や偏見にさらされる今のコロナ禍に重なる。

 お上から「特効薬」処方のお触れが出る場面もある。実はコレラに効くのか怪しい既存の薬。長唄の常套(じょうとう)に沿って「君の情(なさけ)の賜(たまもの)に目出度(めでたき)御代(みよ)とあほぎける」とたたえる体で、危機管理能力の乏しさをあざ笑う。

わからないメロディーを「復元」

 これに曲を付けたのが、長唄三味線の人間国宝・今藤政太郎(いまふじまさたろう)さん(85)だ。

 パーキンソン病を患い、演奏か…

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