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 新型コロナウイルスの感染拡大は人々の暮らしを大きく変えました。医療従事者、夜の街で働く人たち、インバウンドが消えたゲストハウス、東京五輪、パラリンピックが延期になった選手、厳しい状況の外国人留学生…。色々な立場の人たちを訪ね、コロナ禍に見舞われた「私たち」の2020年を伝えます。

拡大する写真・図版白杖(はくじょう)を持つ高田千明さんの腕を裕士さんが取って歩く。千明さんは口の動きを見て会話する裕士さんのため、マスクを外していた=2020年11月26日午後4時45分、東京都台東区、西畑志朗撮影

 「2人で半分こずつ」。全盲の高田千明さん(36、ほけんの窓口)はパラ陸上の女子走り幅跳び(視覚障害T11)で東京パラリンピック代表内定、耳が聞こえない夫の裕士さん(36、トレンドマイクロ)も聴覚障害者の五輪「デフリンピック」の陸上日本代表。「競技ではライバルで、障害は逆で素になれる存在」という夫婦は、互いに補い合って、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。

 新型コロナ感染拡大で、今夏開催予定だった千明さんのパラが延期、裕士さんの世界ろう者陸上選手権(ポーランド)が見送りに。2人は「自分たちでどうにかできる問題ではない」と受け入れるしかなかった。千明さんは「第3波」で、9日から予定していた三重県での合宿も取りやめになった。「とても大事な合宿だったので残念。精神的にきついけど、切り替えるしかない」と話す。

 触覚に頼って生活する視覚障害者はソーシャルディスタンスを保つことは難しい。千明さんは「2メートル距離を取るのは無理。でも触ったらすぐ消毒するなど、最大限努力している」。

 緊急事態宣言が出た4月から5月末、コーチと2人、「密」にならない夜の公園で、腰ベルトを着けてチューブで引っ張ってもらって走るなど、できる範囲の練習をやってきた。

拡大する写真・図版9月に行われたパラ陸上・日本選手権の走り幅跳びで、大森盛一コーチと助走路を確認する高田千明さん=埼玉県熊谷市、西畑志朗撮影

拡大する写真・図版9月に行われたパラ陸上・日本選手権の走り幅跳びで跳躍する高田千明さん=埼玉県熊谷市、西畑志朗撮影

 息子の諭(さと)樹(き)さん(11)の出産後すぐに競技復帰した千明さん。練習や遠征などで休む間もなかったが、コロナ禍の外出自粛で、初めて3人でゆっくり過ごす時間が持てた。「トランプしたり、オセロをしたり。3人とも負けず嫌いで一度始めると夜中まで終わらなかった」と笑顔で振り返る。

 2人は、一人息子の諭(さと)樹(き)さん(11)にメダルをかけてあげることをモチベーションにしている。21年には、最大目標のパラリンピックとデフリンピック(ブラジリア)が行われる。千明さんは「開催されればパラは8月、デフは12月。私が先に息子に金メダルをかける」と意気込む。(西畑志朗

拡大する写真・図版高田千明さん(左)と夫の裕士さん。白杖(はくじょう)を持つ千明さんの腕を裕士さんが取って歩く。千明さんは口の動きを見て会話する裕士さんのため、マスクを外していた=2020年11月26日午後4時45分、東京都台東区、西畑志朗撮影

拡大する写真・図版9月に行われたパラ陸上・日本選手権の100メートルで、ガイドランナーの大森盛一コーチと力走する高田千明さん=埼玉県熊谷市、西畑志朗撮影

拡大する写真・図版体のメンテナンスのため週1回訪れる健康サロン「ぐりーんりぷる」で施術を受ける高田千明さん=2020年11月26日午後、東京都台東区、西畑志朗撮影

拡大する写真・図版はり治療を受ける高田千明さん=2020年11月26日午後、東京都台東区、西畑志朗撮影

拡大する写真・図版施術の合間に夫の裕士さんと話をする高田千明さん=2020年11月26日午後、東京都台東区、西畑志朗撮影

拡大する写真・図版白杖(はくじょう)を持つ高田千明さんの腕を裕士さんが取って歩く。千明さんは口の動きを見て会話する裕士さんのため、マスクを外していた=2020年11月26日午後4時45分、東京都台東区、西畑志朗撮影

【動画】新型コロナウイルスが人々の生活の姿を変えた2020年。国内の動きを映像で振り返る