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 自然災害が起きると、至るところに積み上げられて被害の拡大を防ぐ土囊(どのう)袋。その袋の上に応援メッセージを記して被災地に送る活動を、茨城県那珂市のそば屋店主、佐々木典明さん(61)らが続けている。誰にでも取り組める支援活動をモットーに、これまで5万枚以上を届けた。

 4日、那珂市菅谷の市立菅谷西小学校。

 「被災地には危険なものがたくさんあります」。佐々木さんが4年生58人を前に、災害現場の様子について説明を始めた。そして、ポリ袋と土囊袋のそれぞれに割れたガラスを入れ、土囊袋の強さや様々な使い道を紹介した。

 「みんなの思いは必ず届く」と伝えると、児童たちはカラーペンを手に取って思い思いにメッセージを書いていく。「みんなが笑顔になれるように」、「みんなでより豊かな町を!」。

 鈴木瑞穂さん(10)と小山姫依(ひより)さん(同)は「なかなか現地のボランティアに参加するのは難しい。メッセージを書くことで誰かが笑顔になってくれると思うとうれしい」と話した。

 児童らが手がけた袋は、佐々木さんが友人らとつくったボランティア団体「被災地へ土のう袋を送るプロジェクト」で保管し、今後、全国の被災地に届けられる。

 佐々木さんは2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県南三陸町の出身。10年12月に那珂市後台に開店した「蕎麦(そば)五楽亭」を営むかたわら、寄付で集めた文具などを出身小学校に届ける活動を6年間続けた。

 そんな時、周囲から多く耳にしたのが「何かしたいけど、何をすればいいか分からない」という言葉だった。誰にでも取り組める支援は何か考え、15年の常総水害で土囊袋にメッセージを書く活動を本格化した。

 その後に設立した団体は、全国からの寄付金をもとに、16年の熊本地震や19年の台風19号などの被災地にも袋を送った。

 忘れられないのは、常総水害の時に応援メッセージを見た被災者が涙を流した姿だ。佐々木さんは「災害が起こらず、袋が使われないことが一番だが、毎年のように災害が起こる。備えの一つとして活動を続けていく」と話した。(小島弘之)

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