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 【千葉】新型コロナウイルスの感染拡大で、修学旅行の実施について判断が分かれている。中止や延期する自治体が多いが、感染対策をして原則実施する自治体もある。学校の中には、遠方への旅行の代わりに近場を巡る旅を企画する動きもある。

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 「少しでも子どもたちに思い出として残れば」。木更津市の市立岩根小は10月、修学旅行ができなくなった6年生のために、75発の打ち上げ花火を上げた。「何か代わりになるものを」と地域団体や保護者らと企画した。

 例年、箱根・鎌倉方面に1泊2日で出かけていたが、同市の教育委員会は8月、「集団で宿泊する際に密な状況を回避することが難しい」などとして宿泊旅行を中止した。同校の唐鎌勲校長は「日帰り旅行も考えたがリスクは残る。中止は残念だが、保護者や地域の人たちと知恵を絞って何とか形にできた」と話す。

 松戸市も7月に中止を決めた自治体の一つ。東京に隣接し、感染リスクが高いとして市立南部小はいまだに代替行事も決まっていないという。「子どもたちは本当にかわいそうなので、卒業までには何かイベントをしたいとは思っているが……」(同校)

 県教委によると、千葉市を除く県内の公立小中学校955校の今年度の修学旅行は、「例年通りの日数、コースで実施」はわずか47校(4・9%)。日帰りなどを含めても実施は306校(32%)だった。中止にした634校(66・4%)のうち、「代替行事もしない」としたのは185校(19・4%)に上る。

 一方、千葉市では、すべての市立中と養護学校中等部の計56校が修学旅行、市立小の計110校が農山村留学を実施する計画だ。

 市立さつきが丘中は5月から9月に延期したが、昨年と同じ長野県へ2泊3日のコースで実施した。3年生66人が参加し、上高地散策や、川で釣った魚をさばくなどの体験をした。

 今井功校長は「命をいただく大切さを学んだり、出会った人とのふれあいを通じて自分の生き方を見直したり。修学旅行ならではの貴重な機会になった」と話す。

 実施にあたってはコロナ対策を徹底。引率教員を1人増やし、密にならないよう、往復のバスの乗車率を41%にまで抑えた。生徒は市松模様状に着座させ、おしゃべりは禁止にした。旅行から2週間での発熱者はいなかった。

 同市では6月末の市教委と全市立中校長との会議で実施の方針を確認。各校には事前に実施計画書の提出を義務づけ、内容を点検している。全56校のうち10月12日までに旅行を実施した29校で、参加した生徒は3783人。コロナが不安で不参加だった生徒は15人だった。(重政紀元、真田香菜子)

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 「行ってきまーす」。白子町立関小学校の6年生29人は10月、小湊鉄道の五井駅(市原市)からトロッコ列車に乗り、ホームの駅員らに笑顔で手をふって上総牛久駅(同市)へと出発した。

 1泊2日の修学旅行で神奈川県箱根町に向かう予定だったが、9月上旬に町教委の通知を受けて中止した。その後、小湊鉄道のチラシを見た教諭が提案したのが、トロッコ列車を貸し切りにして車窓や列車の雰囲気を楽しむプランだった。

 小湊鉄道で企画部門を担当する印南篤さん(37)は「思い出作りができない子どもたちに何かできないかと考えた企画。列車を貸し切りにしての旅はなかなかないし、車窓の風景や友達とのおしゃべりを楽しんでもらえたら」と話す。

 参加した豊田美空さん(12)は「修学旅行がなくなって残念だったけど、みんなと旅ができてうれしい」、牧野那菜さん(12)は「楽しみにしていたから中止になったときはすごいショックだった。景色も友だちとのおしゃべりも心に残るといいな」と喜んでいた。

 成田空港近隣の山武市と横芝光、多古両町は空港を発着する約2時間の周遊飛行を組み込んだ行事を計画している。いずれも、新型コロナの感染拡大による大幅な減便で空いた日本航空の旅客機をチャーターする。

 多古町立多古中は、3年生約100人が23日に周遊飛行をした後、空港近くのホテルに宿泊し、食事のマナーなどを学ぶ。5月に2泊3日でグアムを訪れる予定だったが断念。福島・会津方面に変更して10月に旅行する計画も中止に追い込まれていた。

 山武市では市立小12校すべての6年生約330人を対象に、来年2月に2日間に分けて、空港近くの航空科学博物館を見学した後、周遊飛行をする。横芝光町も1月に町立5小の6年生計約190人を対象に計画。感染拡大で空港を身近に感じる職業体験や施設見学ができなかった代わりと位置づけている。(高室杏子、福田祥史)

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