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 鹿児島県日置市の民家で2018年、親族ら男女5人を殺害したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われている無職岩倉知広被告(41)の裁判員裁判の判決が11日、鹿児島地裁であり、岩田光生裁判長は求刑通り死刑を言い渡した。弁護側は即日控訴した。

 死刑言い渡しの直後、弁護側に座っていた岩倉被告が検察側まで駆け込み、「お前のしていることは、許されんぞ」などと大声をあげ、被害者参加人として出廷していた親族にめがけて飛びかかろうとした。廷内には「やめて」の声が響き、一時騒然となった。被告はすぐに取り押さえられた。

 公判では、刑事責任能力の程度が最大の争点となった。検察側、弁護側ともに事件当時の岩倉被告が妄想性障害を抱えていた点では一致したが、検察側は「影響は軽微で完全責任能力があった。攻撃的で他罰的な人格傾向に基づき、自分の意思、判断で犯行に及んだ」と主張。論告では「極めて残虐かつ執拗(しつよう)でむごたらしい。妄想性障害の影響を最大限考慮したとしても、死刑を回避すべき事情は存在しない」として死刑を求刑していた。

 一方、弁護側は「重度の妄想性障害で善悪を判断し、行動を制御する能力が著しく低下し、責任能力は限定的」と指摘。最終弁論では「事件当時は親族から様々な手段で迫害されているとの根深い妄想に支配されていた。心神耗弱で減刑される」として無期懲役が妥当と訴え、結審していた。

 起訴状などによると、岩倉被告は18年3月31日から4月1日にかけて、近くに住む祖母久子さん(当時89)宅で、父の正知さん(同68)と久子さんの首を絞めるなどして窒息死させ、近くの山中に遺棄した。4月6日には、安否確認のために久子さん宅を訪れた伯母の孝子さん(同69)、その姉の坂口訓子(くにこ)さん(同72)、近所の後藤広幸さん(同47)を同じく窒息死させたとされる。(三沢敦)