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 結成15年以内の漫才日本一を決める、師走の風物詩「M-1グランプリ」。12月20日にその決勝が戦われ、テレビ朝日系列で生放送される。サンドウィッチマン、霜降り明星、ミルクボーイ……。多くの芸人たちが劇的なサクセスストーリーをつかみ、全国区へ躍り上がるきっかけとなった舞台だ。

 12月2日にあった準決勝で、過去最多5081組の中からファイナリスト9組が決まった。敗者復活枠の1組を加えた10組で頂点を争う。この決勝に、二つの「初めて」を背負って乗り込んでくるコンビがある。その名を「ウエストランド」という。7日、2人がインタビューに決勝への思いを語った。

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 ――今回、初めての決勝進出となりました。2018年には準決勝に進出するなど、実力を示しながらも「あと一歩」で涙をのむ場面が続いてきました。お二人にとって「M―1」とはどんな存在ですか?

 井口浩之(ツッコミ担当) 「M-1」は、漫才をやっている以上、挑戦しなきゃいけない「宿命」みたいなものですね。

 河本太(ボケ担当) 出なきゃいけないっていうか、出なきゃ申し訳ないっていうか。毎回、本当に嫌ですよ(笑)。

 井口 (ネタの締めに)「いいかげんにしろ!」って言った瞬間、元気になりますからね。それまでみんな(緊張で)胃が痛かったり、腰や肩が痛かったりしますから。

 ――今回、所属事務所(タイタン)としても初めての決勝進出。プレッシャーはありますか?

 井口 タイタンでは最近、新たに若手のお笑い芸人を採り始めていて。それまで若手とかあまりいなかったんですが、「まんじゅう大帝国」とか「キュウ」とか「ダニエルズ」とか、力のある後輩が次々に入ってきた。その中で最初に決勝に行けてよかったなっていう……。今は安堵(あんど)が一番ですね。

 ――事務所の先輩・爆笑問題のお二人から何か言葉をかけられましたか?

 井口 まだ爆笑さんには直接お会いできてなくて。先日ラジオでちらっと僕たちに言及してくれたんですけど、めちゃくちゃうれしかったです。爆笑さんの漫才を舞台袖で見させていただきながら、これまで結果を出せずにいたのは本当に申し訳なかった。毎年、期待を裏切り続けてきたんで……。

 ――ひょうひょうとした河本さんのボケに、井口さんの自虐やひがみを含んだ、内からあふれてくるような叫びのツッコミというスタイル。ネタ作りは井口さんということですが。

 井口 まあ100%、実体験がもとになっていますね。普段から思っていることをベースにしているので、ネタはすぐに出てきます。自虐やひがみの入ったツッコミに関しては、こっちが勝手にそう思い込んでいるだけってパターンも多いんですけど(笑)。

 ――お二人は中・高時代の同級生。当時、一緒に漫才をしたことは?

 井口 漫才という形ではなかったですね。僕は小学校の時のあだ名が「ツッコミ井口」(笑)で、誰彼かまわずツッコミを入れることで有名ではあったんですよ、町で。なので、僕のことは「あいつは将来お笑いやるんだろう」ってみんな思ってたんじゃないかな。だから、ちゃんと相方選んでたら、もっと簡単に決勝行けてたはず……。

 ――そんなことは……

 河本 ええ、そんなことは……あるんですよ。

 井口 一度、大学の友達と試しに漫才やってみたらもっとうまくできましたもん!(笑)

 河本 井口と組んだら誰でもある程度のところまでは行ける、みたいなね(笑)。

 ――お二人が信頼で結ばれていることを感じます。ところで、新型コロナウイルスの感染拡大は、お笑いや舞台の公演にも大きな影響を及ぼしました。

 井口 緊急事態宣言中はライブもなく、コンビで会うこともありませんでした。リモートでできるライブ配信はやってたけど、その時はM―1のことはもちろん、先々のことなんて考えられなかったですね。

 ――今回のM―1ですが、1回戦はシード通過でした。例年と比べてネタを披露する機会が少なかったわけですが、戸惑いは?

 井口 実質的な初戦となる2回戦が一番緊張したかも知れないですね。最初の舞台が大事なので、初戦で調子を出せなければあっさり落ちることもありえました。

 河本 いいところまで進んで落ちたこともありますし、例年より気持ちが楽ということはなかったですね。

 井口 それに、今年はM-1前に(コロナ対策の観客制限で)満員のお客さんの前で演じることができなくて。自分たちのネタがどのくらいウケるのか手応えをつかみづらかったところもありました。

 ――ファイナリストの他8組で最大のライバルは?

 井口 錦鯉(にしきごい)さんかな。奇跡が起きて、今から(長谷川)雅紀さんとかが急に若返らないかなぁって思ってます(笑)。

 河本 そう、雅紀さんはなんといっても(49歳という)年齢と芸歴が強み、武器になっていますから。

 井口 そうしたら僕らにも勝機が……?

 ――「お笑い第7世代」が注目される中で、どんな漫才をめざしますか?

 井口 めざすとすれば、第7世代の真逆ですよね。(彼らは)僕たちが作ってきたスタイルを壊して、新しいやり方を作ってきた。でも、僕らは自分たち流の漫才しかできないので。

 河本 本当は人気者になりたいんですけどね。

 井口 本当は(第7世代みたいに)やりたかった。ああやって明るい道を歩きたかった……。

 河本 いやいや!(笑) 諦めてはいないですけどね。

 井口 「M―1ではこれやっちゃだめだろうか」とか、特別なステージの重みをなんとなく考えちゃうんですけど。でも、今年は何も考えず「全部やっちゃえ」って感じで臨んだのが幸いしたというか、結果につながったと思っているので。開き直って、全力でやるだけですね!(聞き手・宮廻潤子)

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 《ウエストランド》 岡山県津山市で中・高の同級生だった井口浩之さん(37)と河本太さん(36)が2008年に漫才コンビを結成。「THE MANZAI」では、予選を勝ち抜いた50組に与えられる「認定漫才師」に12年から3年連続で選出。18年には、「M―1グランプリ」で準決勝に進出した。YouTube番組「ウエストランドのぶちラジ!」の総再生回数は760万回を超える。