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 職員が新型コロナウイルスに感染し、診察の中止も経験した熊本県の病院が、ウェブ会議システムを使って感染防止対策教室を始めました。リハビリテーションを専門に行う病院で、「感染症治療の専門家でもなければ、感染症の治療に特化した病院でもない」と話す院長が、なぜこうした教室を始めたのでしょうか。

オンラインで無料 2000人超が受講

 この病院は熊本託麻台リハビリテーション病院(熊本市)。病床数は142床で、急性期病院から患者を受け入れ、その名の通りリハビリを通して在宅復帰の支援を行っている。1年で約4万人超の外来患者が診察に訪れる。患者の多くは高齢者だ。

 ある日の教室。「濃厚接触者の新しい定義をご存じですか?」。パソコンの画面越しに平田好文院長が問いかけた。

 国立感染症研究所によると、感染者の発症2日前以降に、手で触れる距離(1メートルが目安)で必要な感染予防策をせずに15分以上接触した人などとしている。厚生労働省によると、濃厚接触者かどうかは具体的な状況を勘案して判断されるが、無症状でも感染している可能性があるため、厚労省は接触後の14日間は不要不急の外出を控えるよう求めている。

 平田院長は「1メートル程度の距離で互いにマスクをせずに15分以上会話をしたら濃厚接触者と保健所に判断され、仮にPCR検査で陰性でも自宅待機を求められる可能性があります。職場で複数の人が濃厚接触者になると、業務に支障が出るおそれがあります」。

 この病院がコロナ禍に襲われたのは2月21日。看護師の感染が明らかになった。熊本県内で初めてのケースだった。翌日から診察と面会を中止。職員には自身が勤務している以外の病棟には立ち入らないよう求めた。平田院長は「どこから感染したかも分からず、感染者が他にもいるかもしれない」と考え、こうした対応を取ることを決めたという。他の職員や患者らで感染した人はいなかった。

 半年ほど経った8月に、別の看護師の感染が明らかになった。患者や看護師の同僚らを含め100人超がPCR検査を受けたが、全員陰性。2回とも院内でクラスター(感染者集団)は発生しなかった。

 このような経験をした病院が、9月からウェブ会議システムを使って感染防止対策教室を始めた。平田院長は週に3回ほど、参加を希望した個人や団体を対象に1時間ほど話す。費用は無料だ。

 平田院長は「私は感染症治療の専門家ではないし、ここは感染症の治療に特化した病院ではない。だから治療法などを話せるわけではない」という。それでも教室を始めたのはなぜか。

 感染の第1波が落ち着いた6月…

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