[PR]

 新潟県長岡市のフリースクールに通う子どもたちが、自分の不登校体験を書いた本を出版する。不登校になった経緯をつづり、仲間の思いを聞き合い、苦手意識のあった学校の先生にも取材した。発案、取材、編集の全てを子ども自身が担った意欲作だ。

 タイトルは「不登校宣言」(新潟日報事業社、全270ページ)。小学2年生から高校3年生までの不登校の子どもたち約25人が通うフリースクール「あうるの森」(山田竹紘代表)の生徒が編集した。

 生徒が体験を語る章では、高校2年生の男子がいじめの体験を打ち明ける。

 「学校の中で僕の悪口が目立つようになってきました」

 「あいさつ代わりのパンチも徐々に激しくなっていきました」

 救いは家族。不登校を理解してくれたという。

 「不登校は長いトンネルになるかもしれない。でも、出口がないわけじゃない」

 そう思えるようになった、と自分の気持ちを振り返る。「不登校宣言」では、こうした独白や子ども同士の対談の形で、13人が自分の経験を語っている。

 教員も登場する。「あうるの森」の子どもたちとは直接関わりがない県内小中学校の教員3人が協力し、子どもたちと話し合った。

 子どもの1人が、登校を強く促す担任の対応がトラウマになったと明かした。参加した小学校教員は「(不登校の)理由がわからないと先生側もすごく不安」と正直に打ち明けつつ、「(子どもの)同意を得た上でアプローチしなきゃいけないなと思いました」と語っている。

 2013年にできた「あうるの森」では、子どもたち自身が一つのテーマで取り組む「年間プロジェクト」を教育の一環としている。今年は本の出版。通信制高校3年の川上紘明さん(18)が提案した。

 小学生の頃から勉強が苦痛で、中1の夏休み明けには朝に腹痛や吐き気を覚えたという。欠席を学校に伝えると、担任に「一生来られなくなる」と強く言われた。登校する気持ちが失せた。1年半ほど自宅で過ごし、あうるの森へ。友達ができて勉強もし直し、今は大学進学をめざしている。

 ただ、中学時代にもっといろいろできたという後悔もある。「同じ思いを他の人に味わってほしくない」と考え、自分たちの体験の共有を思いついた。考えを伝えるだけでは“一方通行”とも思い、苦手意識のあった学校の先生にも話を聞くことにした。「先生と対談し、『学校に行かなくてもいい』と言ってもらい、精神的に楽になった。この本をつくれてよかった」

 川上さんら一部の生徒が中心になり、構成を考えたり、取材のときの質問を考えたり。録音した音声の文字起こしや出版社との打ち合わせも含め、すべて生徒たちで分担した。

 編集作業の中心メンバーの1人、中学3年の女子生徒(14)は昨年、友人グループ内でいじめられて孤立し、不登校に。これまで生徒同士で境遇を伝える機会はなかったが、出版に向けた作業の中で経験を話し合ったことで、「一人一人悩みを抱えている。私だけじゃないんだな」と思えるようになった。「悩んでいる人がこの本を読んで、悲しいのは自分だけではないとわかってほしい」という。

 A5判、税込み1650円で来年1月6日発売予定。問い合わせは、あうるの森(0258・37・0780)。(高浜行人)