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 木の伐採の影響などで一面のササ地となった山を、白樺(しらかば)やダケカンバなどの「カンバ林」に再生させる研究を北海道大が進めている。カンバの成長を促す手法も確立しつつあり、林業関係者だけでなく、家具やクラフトの素材としてカンバを使う人たちからも注目されている。

 北大北方生物園フィールド科学センターの吉田俊也教授によると、山間部の積雪地では伐採後の林の回復が進まず、地面がササに覆われるケースがあり、対策が課題になっている。一度ササに覆われると、木の種が地面に落ちてもササの影になって生育が難しく、自然の多様性も損なわれるという。

 1960年代ころからは、地面を10~20センチほど掘り返し、ササの根ごと表土を除去する「かき起こし」が行われるようになった。この作業により、ササが生い茂るより先に自然にカンバが生え、林になることが知られてきた。

 北大はこれまで長年、幌加内町にある雨龍演習林でかき起こしの効果を調べてきた。ただ、かき起こし後に育ったカンバは直径10センチ程度と細く、家具材などに使うのは厳しいとされてきた。

 そうした中、約20年前に演習林の職員が「かき起こした栄養たっぷりの表土を、ササの根が死んだらもとの場所に戻せばいいのではないか」と発案。試したところ、目に見えて生育に違いがみられた。

 最近のデータでは、かき起こし後20年で比較すると、表土を戻さない場所で育ったカンバの直径は平均5センチ、平均樹高は6メートル、表土を戻した場合はそれぞれ8センチと10メートルと、明らかな差が出た。吉田教授は「効果的な間引きの方法などさらに研究をすすめ、かき起こしから40年で、家具材などに使える直径20センチを目指したい」と話す。

 育ったカンバの活用法の検討も進められている。カンバは柔らかいため、取引価格の安いチップ材にしかならないとされてきた。しかし最近、家具として使える堅さがあることがデータで裏付けられ、野球のバットとしても使えることが分かった。旭川市周辺では、家具やクラフトの作家、林業関係者らでつくる「白樺プロジェクト」による需要創出の取り組みも始まった。プロジェクトの鳥羽山聡代表は「白樺が持続可能な資源となれば、我々も持続可能な物作りに取り組むことができる」と、研究に期待を寄せる。吉田教授も「カンバ林に経済的価値がつけば、山林の再生にもはずみがつく」と話す。(本田大次郎)

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