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 経営難のJR北海道への国による支援継続が正式に決まった。12日、札幌市で開かれた会議で国土交通省が方針を表明。年200億円規模の支援が今後も続く見通しだ。ただコロナ禍で旅客は激減し、JR北の経営状況はなお厳しい。赤字路線の維持を巡る北海道や地元自治体の負担の枠組みもまとまらず、2031年度の経営自立に向け、さらなる路線の廃止が焦点になる可能性がある。(長崎潤一郎、斎藤徹)

 道庁で開かれた会議には、国交省の上原淳・鉄道局長のほか、鈴木直道知事、JR北の島田修社長らが出席した。

 鈴木知事は「北海道は広域分散型の地域構造、積雪・寒冷という特殊性がある。鉄道網は道民の生活はもちろん、(農産物の輸送を通じた)食料安全保障などにも貢献している」と強調。国がJR北の「第1期集中改革期間」とした19~20年度に、道や沿線自治体、JR北が鉄道利用促進に取り組んだとも訴えた。

 上原局長は、こうした取り組みを評価し、「この2年間の措置をもう一歩進めた形で支援策の充実、強化を図っていきたい」と述べた。具体的な金額は今後詰めるとしたが、これまでの「年200億円」規模の増額を示唆。JR北の経営の重しになっている青函トンネルの維持管理負担の見直しにも言及した。政府は、支援継続に必要となる関連法の改正案を来年1月開会の通常国会に提出する。

 国交省は18年7月、JR北に経営改善を求める監督命令を出して財政支援を決定。JR北の株式を所有する鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じて19~20年度の2年間で計416億円を出した。今回の支援継続表明は、「第2期集中改革期間」(21~23年度)の3年間を想定したものだ。ただ、この日の会議では支援の期間は示しておらず、今後も調整を続ける。政府内には「JR北の自助努力を厳しくチェックすべきだ」(財務省幹部)として、複数年の支援を一度に決めるのではなく、単年ごとに状況をみるべきだとの意見もある。

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 一方、国が道や沿線自治体に一定の負担を求めている「赤字8線区」への支援策はまとまらなかった。

 宗谷線(名寄―稚内)や石北線(新旭川―網走)など8線区の赤字(年120億円規模)を、JR、国、道と沿線自治体が3分の1ずつ負担する支援策を水面下で協議してきたが、鈴木知事はこの日の会議で「単なる赤字補塡(ほてん)はできない。明確にできないと考えている」と強調した。「地域としては引き続き可能な限りの支援を行う」とも述べ、利用促進の取り組みは従来通り続ける考えを示しつつ、財政難の自治体が多額の支援はできないとした。

 JR北は、北海道新幹線の札幌延伸後の31年度の経営自立をめざす再建計画を示している。この計画では、「単独では維持困難」とする13線区のうち、5線区は廃止・バス転換したうえで、8線区は国や自治体の負担による赤字の圧縮が前提となっている。

 コロナ禍でJR北の経営は厳しさを増しており、20年9月中間決算は営業損益が過去最大の385億円の赤字だった。国は、来年度から3年間の「第2期集中改革期間」が終わる23年度に、JR北の経営改善の状況を踏まえて総括的な検証を行うとしている。8線区の負担をめぐる国と北海道などの協議が今後もまとまらなければ、「さらなる廃線の議論が出てくる可能性がある」(政府関係者)という。

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