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 プロボクシング元世界王者の徳山昌守らが輩出し、一時代を築いた大阪の金沢ジム。今は大阪市から八尾市に移転し「田中・金沢ジム」に改称した。金沢英雄会長(73)は5年前から小学生を対象にした「いじめ撲滅ボクシング大会」を続けてきた。来年3月に11回目の開催を予定するが、コロナ禍で資金難のため支援を呼びかけている。

拡大する写真・図版田中・金沢ジム会長の金沢英雄さん。年季の入ったサンドバッグは「徳山たちがいた頃から使っている」という=大阪府八尾市桂町

 金沢ジムの全盛期は2000年ごろからの約10年間。世界ボクシング評議会(WBC)スーパーフライ級王者の徳山昌守らがいた時代だ。大阪市生野区の約30坪のジムに選手がひしめき、プロ選手も十数人いたという。今、稼働しているプロはほとんどいない。

 2度の移転があり、今は八尾市の倉庫を無償で借りてジムとしている。徳山らの活躍を伝える新聞記事も貼ってあるが、色が落ち、時間の経過を感じさせる。「世界戦をするために何千万円も借金して、大変だったけど、いい思い出でもあるな」。今もミットで選手のパンチを受けるという金沢会長が懐かしんだ。

拡大する写真・図版現在のジムには全盛時に獲得したトロフィー、古い新聞記事などが飾られている。元世界王者・徳山昌守さんらが金沢会長を囲む写真もあった=大阪府八尾市桂町

 徳山が12度の世界戦を戦い、重量級の石田順裕は海外転戦もした。頂点を極めた金沢会長は今、「いじめ撲滅ボクシング大会」に情熱を傾けている。

 きっかけは2011年に起きた、大津市で中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺した事件だった。「その生徒は家と学校以外に居場所がなかったんじゃないか」と考え、すぐに「いじめそうだんしょ かなざわじむ」の看板を作った。

拡大する写真・図版「いじめそうだんしょ」の看板。これが「いじめ撲滅ボクシング大会」の発想のきっかけになった=大阪府八尾市桂町

 それを見た子供たちがジムに話をしに来たり、サンドバッグをたたきに来たり。さらには「いじめられている子供たちに、試合を見て勇気を持ってもらいたい」「いじめている子供たちにも、ボクシングを通じて上には上がいることを教えたい」と、15年から子供たちのための大会を始めた。

 毎回、主に大阪のプロ加盟ジムに参加者を募り、防具をつけて行う小学生のスパーリングを10~12試合。キッズダンスの発表の場にもなってきた。今回、会場は第1回でも使った大阪・ミナミの道頓堀川沿いに決めた。「コロナ禍で、青空の下のほうがいい。雨が心配だけどね。ミナミを活気づけたい思いもある」

拡大する写真・図版金沢さんは「いじめ撲滅ボクシング大会」を過去10回開催してきた。道頓堀川沿いで開いた大会の様子=田中・金沢ジム提供

 問題は資金面だ。「景気が悪くて協賛金も集まりにくい」と金沢会長。リング設置費やレフェリー、係員の人件費などにかかる200万円をクラウドファンディング(CF)で募ることにした。だが、13日午前の段階で約10万円しか集まっていない。「僕が元気なうちは赤字でも続けます。子供たちが大きくなってから、ここで試合したことを自慢できる大会にしたい」

 支援募集は22日午後11時まで、CFサイト「READYFOR」で受け付けている(https://readyfor.jp/projects/ijime-bokumetsu-boxing別ウインドウで開きます)。問い合わせは金沢会長(090・3628・8204)まで。(伊藤雅哉