体操・全日本個人総合選手権男子で初優勝を飾った萱(かや)和磨(セントラルスポーツ)の脳裏に焼き付いて離れないシーンがある。
16年前の夏。テレビには日本体操界のエース冨田洋之が映っていた。アテネ五輪団体総合の決勝。鉄棒から飛び立った冨田が「栄光への架け橋だ!」という名実況とともに、マットの上にピタリと降り立った。金メダルの瞬間だ。
「これやりたい!」「これやりたい!」。おとなしくて泣き虫で自己主張があまりなかった7歳の少年は母・恵子さんに言った。自らの強い意志で、体操を始めるきっかけとなった。
24歳になった今も、夢はそのときから変わらない。五輪の舞台で日本のエースとして金メダルを取る。初の全日本王者をかけた最終種目の鉄棒では、最終演技者としてすべての視線が降り注がれる中、自らにこう言い聞かせた。
「東京オリンピックでも絶対、こんな場面が来る。こんなところでできなかったら、オリンピックで絶対できない」。あの時の冨田と同じ、着地をピタリと止める完璧な演技で、14・633をたたき出した。
4年前の悔しさが萱をさらに突き動かした。
2016年リオデジャネイロ五…
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